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如星的茶葉暮らし

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酒の一滴は血の一滴。茶の一滴は心の一滴。ネタの一滴は人生の発露。


 

【2005-05-01-日】

香を焚き染め日記を書いて

昨日、鎌倉は小町通、鬼頭天薫堂にて「由比が浜」と銘打たれた香を買ってきた。

如星は「香り物」が結構好きな部類だ。サンタ・マリア・ノヴェッラのルームフレグランスは良く焚いているし、クローゼットにもスパイス系のポプリを入れていたり。身に着けるほうはささやかなモノだけど、同じくS.M.N.のものや、去年ヴェネツィアで購入した伝統レシピのものなど、やはりイタリア系のちょっと複雑な、あまり日本人が漂わせていないような香りを好んでいる。ま、そもそも香り物に転んだ所以が、S.M.N.のフィレンツェ本店に漂っていた強烈なポプリの香りだったのだから当然かも:)

とは言え、例えばフレグランスから石鹸に至るまで好みの「サンダーロ」、これ日本語に訳せば「白檀」である。日本でも「お香」として馴染みの深いアレだ。もちろん、成分を抽出してオイルから香らせる西欧系と、香木を中心として文字通り焚き上げて香らせる東洋系では雰囲気はかなり違うのだが、それでも根の部分は一緒。煙と共に漂う香りは「抹香臭い」といわれる事もあるけれど、如星はその燻したような線香独特の味わいも好きなのである。イタリア系で好むスパイスやサンダーロ系はかなり甘みが強い香りなのだけど、これを香にするとその煙の部分が甘さを引き締めてくれるというか。東西分け隔てなく愛しているというわけだ(笑)

最近「お香」というとアロマブームの影響もあって、「マリンノート」のような香りの線香も結構出ているのだけど、正直何処で嗅いでも合成臭くて気持ち悪い。「インセンス」にする技術とそれらの香りが本質的に合わないってのもあるだろうし、またその手の香りは如星が呼ぶところの「マツキヨの香り」めいているからってのもあるんだろうけどね。安売りされてるブランド香水を頭から引っ被ったかと思うぐらいまぶして街を歩く若い男のせいで、本来いい香りなんだろうがイメージが歪められているというか(苦笑)

そんなわけで、今回買った「由比が浜」も、中身は白檀。今までそこらで適当に「白檀」と銘打たれた香を買って焚いていたけれど、今回一応「それなり」の香を焚いてみたところ、その煙くなさに驚いた。いや、その燻した香りとしての存在は十分健在なのだけど、閉め切った部屋で焚いていても煙の嫌な部分を感じることがまったくない。反面少々全体の香り自体が弱く感じる面もあるけれど、これは結構当たりを引いたのかも。アロマランプ版「サンダーロ」と同じぐらい出番が増えそうな一品でした。嗚呼、香り物万歳。

今日の一滴="−−−−" (2005/05/01)

【2005-05-03-火】

ヴァイツェン:如星対日本ビール

ぶどうさんのお招きを受けて、氏が外部からオープンに携わった「アサヒアネックス」@浅草の「ハーモニック」のオープニングへ。何処でもそうだけど、オープン間際の追い込みは大変だった模様で、とりあえずお疲れ様の一杯を:)

ここはさすがはアサヒ直営ということで、ここでしか飲めない限定醸造のビールがいくつか。基本的に日本のビールは好きじゃない如星だけど、「そんな人にこそ飲ませたい」と醸造担当のおっちゃんが薦めてくれたという「ヴァイツェン」を試してみる。小麦も使ってるとのことで、確かにベルギーのホワイトビール、ヒューガルデンのような果実っぽさが漂う。飲み口もヒューガルデンほど淡雪めいてはいないけど、フルーツの香りにふさわしい軽さ。驚きだったのが、それでいて「日本のビール」を断固主張する味と喉越しも混在していたところ。元々如星が日本のビールを嫌うのは、それが生のコーンスターチを舐めたような味と臭いがするからで、それが日本ビールの特徴かとも思っていた。が、そのコーンスターチ臭がなくても、日本風味をしっかりと、しかも美味しく主張できるということが今日はじめて分かった。……いや、旨いよこれ:) 正直、混ぜ物のない日本ビール(ヱビス等)も旨いと思ったことはなかったのだけど、これは製法の勝利ってやつだろうか。

聞けば、このビールはドイツで昨年行われたヴァイスビールコンペで金賞を取った代物だとか。「日本人だけに受けたわけではない」という辺りがポイントだったのかも。……ただ、惜しむらくはその点がメニューの何処にも記載されてないし、店内でも宣伝されておらず、そしてウェイターが解説してくれるわけでもないというところ(ウェブ上では説明があったけど、客が皆ウェブを端まで見てからくるわけでもあるまい)。今回は内情に通じてるぶどうさんが同席していたから頼めたというわけで、その辺は「もったいない」ところだ。これについては別件も交えて後述。

サービスレベルとプライスレンジ

この店、アサヒ直営ビルの「メインダイニング」を司るということもあり、プライスレンジこそ高くはないけど、内装も料理もかなり気合が入ってるし、逆に言えば相応のレベルを求められてもいる(と、思う)。 料理面については、今回野菜中心のコースを頂いたのだけど、かなり安心して任せられるレベルだった。フレンチ系ではあるけれど、メインの茄子を主にベーコンを使った皿などにビールへの意識も見えて店とのマッチングもできてたし、また最後の「赤ピーマンのプリン」には正直脱帽だった。ウマウマ。

しかしサービス面でいうと、やはり初日ということもあってか、かなり硬さが目立った。ま、ぶどうさんや相方とはこの辺の話題で盛り上がれるわけで、ぶどうさんがスタッフに顔が通ってることもあって、逆に一言指摘してあげる等、少々外道な楽しみ方もできてしまい(笑)不愉快さはなかったのだけどね。 とはいえ、にしても、今日の対応が単に初日が故の硬さのためなのか、サービスの質にまで思いが至っていないのか、ってのは大きな違いだし、今後のこの店を占うポイントになると思う。前述の「狙っているレベル」で言えば、例えば同価格帯にはサービスレベルが一段図抜けてる「キハチ」辺りがあるわけだし、また店自体「オーダーメイド要求を歓迎」すると謳っている以上、それをキッチンだけでなくフロアの人間がサポートできなければ意味がない。フロアに求められているレベルは決して低くないと思う。……さて、どっちに転ぶのかな。

以下覚えている限りを列記。……な、なんか結構あるな。まるで姑のようだ!(笑) 今回はチェックモードに入ってたってだけで、普段からそんな重箱の隅をほじくり返してるわけではないので念のため。(ま、この辺の線はクリアしてくれてる店を愛用してるというツッコミもありんすがね……)

繰り返しにもなるけど、初日だって点は8割ぐらい割り引いてあげていい事を改めて付記。とにかく料理面で安心できるってのは強いし、前述したようにビール好きは一度足を運んで損のない店でした。ま、ビールはこのフロアだけでなく、下のフロア等でも出るみたいだけどね。

今日の一滴="モルト:余市12年シングルカスク「Peaty & Salty」" (2005/05/03)


 
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