VERBA VOLANT, SCRIPTA MANENT.
以前から名前だけは聞いていたIL BACARO@新宿に行ってみた。
バーカロというのはヴェネツィアの立飲み居酒屋のこと。でかいカラフェから遠慮なくドドドと注がれるグラスワイン(通称オンブラ)に、1ユーロ単位で食える魚介中心に選り取りみどりのツマミ(チケッティ)が特徴。元々ヴェネツィア人はイタリア人の中でも一番ワインを飲むと言われているけど、その消費量はこのバーカロ文化に負う所が大きいのだとか。実際ヴェネツィアの街を歩いていると、立飲みカウンターのみならず店外にまで溢れ、立ったままワインとつまみを器用に食いつつ騒いでいる人々に出くわす。たとえ真昼間でも昼飯代わりと言わんばかりに(いや昼飯なんだけど)、真っ青な空の下、目の前の運河にかかる橋にでも腰掛けて一杯やってる連中も結構多い:)
で、そのバーカロを日本に持ち込んだのが、この新宿IL BACARO、そのまんまな名前の店である。場所こそ地下にあり、路地裏路面店を想像してた身からするとちょっと意外だけど、一歩入ってみるとカウンターに並ぶチケッティの大皿といい、ズドンと置かれたワイン壷といい、確かにヴェネツィアの空気がなかなか巧く再現されている。天井からポレンタ鍋が下がってる辺りは演出過剰と知りつつもニヤリとしてしまう。もちろんテーブル席もあり、こちらは普通にヴェネツィア料理を楽しめる。バンコで連れを待ちつつ飲み、揃ったところでテーブルへ移動なんて飲み方も可能だ。
肝心の酒と料理も真面目にヴェネツィア。ワインの揃えは当然良いし、キチンと向こうのリキュールで作った食前酒・スプリッツも揃えてる。酒飲みのデザート・ズグロッピーナもご健在。鰯のサオール漬けやらタラの練り物やら白ポレンタやら、フードもしっかりとヴェネツィアの味わいで、しかも旨い。「高級な」白ポレンタのみで、お馴染みの黄ポレンタがないのはちと寂しいけど、名物牛レバソテーもなかなかの出来栄えだし、何より量もイタリア級なのが嬉しい。ちょっと大目の人数でガンガン皿を頼んで飲むのにぴったりである。逆に2-3人であれば、さっくり立飲みでやる方がスマートかも。何より立飲みって基本的に楽しいのよね:)
ちなみに料理の出が結構遅かったり、最初に行った時はエスプレッソメーカーが壊れてたり、二度目に行った時は空調が壊れてたりと、その辺も微妙にイタリア臭かったのはご愛嬌。もう少しフロアにスタッフを多めに配してもよさそうだとは思ったけど、ま、それほど気にならないのは気分がイタリアモード(別名pazienza、要は忍耐力)になってたからかも。ともあれ、ヴェネツィアに興味のある人、ワイン好き、魚介好きが仲間内で飲むには実にいい店でした。立飲みは今後も結構使いそうな予感。
この週のフォローアップはいい加減諦めて、次いってみよー次(苦笑)。キリがない……。
今日の一滴="グラッパ:バローロの何か(笑)" (2005/10/15)