VERBA VOLANT, SCRIPTA MANENT.
写真を見ても、ほとんどの人には何のこっちゃ、だと思う。これが最近如星がハマっているスパイス、メースなのだ。ナツメグのあの胡桃のように硬い殻の、更に外側にへばりついてる(らしい)「仮種皮」を乾かしたものだとか何とか。
これを何に使うかというと、紅茶に入れるのだ。料理に使うときはスパイスミルで細かく挽くらしいがそんな面倒なことはせず、手のひらと親指で軽くべきべきと砕いてやり、紅茶葉と一緒にポットへ投入。別にチャイのように煮出したりもせず、そのまんまだ。
これが、実に旨い。
元々、こういう風にティーポットにそのままモノを投入して香りを出すスパイスとしては、シナモンが有名だ。が、市販されているほとんどのシナモン、インドやインドネシア産だと思うが、長く紅茶につけて置くと辛味が出てしまうのである。こういう辛味の出ない、甘さだけが染み出るシナモンはスリランカ産の上等な代物に限られるようだ。一度青山TFの店長にお土産でスリランカシナモンを貰って初めて知ったのだが(自分じゃよー買いません!)。
ところが、メースは安物でもそーゆーことがない。ナツメグ(ハンバーグとかスパイスケーキに良く使われてる)と同系列の甘い香りはシナモンの代わりとしても十分紅茶に合う上に、辛味が全然でないのだ。料理に使われるってぐらいで火を入れれば辛味も相応に出るのだろうが、熱湯のレベルでは出ないタイプらしい。が、シナモン、カルダモン、ジンジャー辺りは紅茶合わせのスパイスとしてよく聞くけど、メースを入れるという話は他所で聞いたことがないし、ぐぐっても全然実例を見ない。こんなにお手軽で旨いのだが、流石にスパイスの存在自体がマイナーすぎるのか……!
……確かにメースなんて代物、しかもそのホールがその辺で売ってるのかは疑問だが、アメ横辺りに出ると一袋50gどっちゃり入って2-300円と大変お手頃だ。もし見かけることがあったら、紅茶好きは是非一度試して欲しい:) 余ったらそれこそ砕いて挽肉にでも入れてくれい。
ちなみに合わせる紅茶は強めのもの、ディンブラやキャンディ、アッサム等がお勧め。お試しあれ。
当落発表より遅ればせながら改めて、当「神慮の機械」は夏コミ(C76)に当選いたしました。
3日目 08/16(日)東ポ-14a 「神慮の機械」にて皆様のお越しをお待ちいたしております:)
さて今夏の予定発行物ですが、配置エリアは堂々マブラヴ・オルタネイティヴ。今回はいつもの如星に加え実力派の方々をお招きした機動部隊を急遽編成し、入魂の一冊を軌道爆撃いたします!
以下執筆陣「フライド・チキンズ」をご紹介ッ!
「TSFIA」瑞鶴回では公式設定協力として如星とコラボ。分刻みの緻密な設定と勢いのある文体に定評あり、そして何よりニコ動・age公認(not公式)動画『帝国の守護者』の原作者。直江に惚れた奴ァ有明まで来るがよい!
本職仮想戦記作家にして、「MC☆あくしず」等にて萌えとミリタリーを融合させる執筆多数。サークル「近衛衆兵鉄虎第501大隊」にて魔砲少女などもお手の物、今回初めてのオルタ参戦です! 少し頭冷やすのだけは勘弁な!
えーと、俺です。一番しょぼい予感! ……一応アージュ「公認二次創作作家」にして「チキンダイバーズ」等を執筆、現在HobbyJAPAN「TSFIA」連載中。本来は君望作家、きゃっきゃうふふがお得意だったはずなのだが──今や鏖殺エンドなら任せとけ! Bデバイスだけは勘弁な!
名も無き侠気の神。青魔法ではない。カバーイラストにて参戦予定、その名が明かされる日も近い! 再来月もあの人に惚れていいわよッ☆
内容は佐渡島陥落直後の新潟攻防戦や甲21号作戦、桜花作戦前夜などを予定中。詳細が詰まり次第こちらのページにて告知予定です。乞う御期待。こんがり揚がってます。
ちなみに、この同人誌に登場する人物・設定等は、みーんな非公式だよ、おにいちゃん。
なお、マブラヴオルタ関連につきましては、この他にもいくつか書き物企画が進行中です。皆様がご期待中のアレやアレなど、近いうちに情報をお出しできるかもしれません。続報をお待ちくださいませ:)
「簡易版・同人誌の作り方実録編」、今回は番外編。本来やる予定の無かった「原稿作り」関連記事だけど、小説本独特のノウハウ伝授をやって欲しいとの声を受け、とりあえず基礎的なところを書いてみることにした。例によってレイアウト等はとらドラ小説本を題材にて。
では、一応以下目次。
第1回 着想から計画まで「大河かわいいです」
第2回 計画フェイズ「イベントドリブン」
第3回 仕様&印刷所策定「デッドライン」
第4回 仕様最終設計「原稿着手、その前に!」
第5回 番外編「小説本の作り方!」(この記事+後日フォローあり)
今回は小説本作りを一切やったこと無い人には意味不明の内容です。ご容赦ください。
2015.08補足:ここで示したような小説本レイアウト、並びに如星が理想としている小説本の中身の全体的な装丁を体現した同人誌が、今夏最新作「ヴェネツィアの少女アリーチェ・ロレダンの遺言」です。通販等も行っていますので、是非「紙版」をご参照いただければ幸いです:)
まずはメインとなる本文部分のレイアウトに関して。……って、右の図を見てもらえれば言いたいことはほぼ全てカバーされてしまっているのだが。
とりあえず、基礎用語として本の四辺を指す「天、地、ノド、小口」の4単語は覚えておこう。慣れない人だと「何で上下左右じゃダメなのか天地はまだいいとして」と一瞬思うかもしれないが、本ってのは当然左右対称物なので「左右」じゃなくて「内側と外側」で余白等をセットする必要があるのだ。ノド=内側、小口=外側。こればっかりは暗記するしかない(一応小口は切り口、と連想できれば何とかなる)。
さて、小説本のレイアウトは「四辺の余白(アキ)」「文字サイズ・書体」「行送り(行間)」「ノンブルの位置」辺りの要素で決まる。「行辺りの字数」が抜けてるように見えるけど、あれは余白と文字サイズを決めることで逆算的に決まったりする。
まず、小説本には素晴らしいお手本が溢れている──貴方の書庫に並ぶ文庫本、新書本である(まぁ、最近の商業文庫本には結構酷いレイアウトのも存在するが……)。自分が見やすいと思う余白、文字サイズを定規を当てて測ってみるのが一番いい。ノド余白も、一番内側の行位置に付箋紙を貼って本を閉じれば測りやすいぞ:)
そしてもう一つ、素人である我々は画面でレイアウトを把握できると思わない方がいい。とりあえずプリンタで出してみる。最終形のサイズに合わせて切ってみる(重要)。確かにインクジェットで出すとフォントが太り、家庭用レーザーで出すと細ったりはするが、余白や全体のバランスは確認できるはず。納得行くまで刷るべし刷るべし。
余白を減らせば、入る文字数が増える。文字数が増えれば、同一文字数当たりのページ数が減らせる。当たり前の話だが、しかし印刷代を常に考える同人誌では重要な要素である。
一方で、余白を削りすぎると如何にも素人臭い、ビンボ臭い紙面に見えるのも事実。ぱっと見で素人臭い小説本はそれだけで手に取ってもらえなくなる危険性をはらむため、節約術が仇になる可能性があるのだ。四辺の余白比率は後述するけど、最低限「天や小口が10mmを割るレイアウトは危険」と目安にしておこう。
特にこだわりが無いなら、天を狭くし、地を広く取るのが如星のお勧め。
実際に本を手に持って見てみれば分かるけど、地側=手前側ってのは純粋に読みにくい。下目使いで、時にアゴまで引く視線移動が行数回分発生するわけで。商業本でもせいぜい等幅な本が多いけど、是非一度作ってみて欲しい。(ちなみにこのため、如星本のノンブルは全て地側である)
指の掛かる位置。当然、狭すぎれば端の行を読むたびに親指をずらす羽目になる。またみっちり端まで詰め込んだ場合、何故か天地以上に貧乏臭く見えるのが小口余白。10mm以下に削るのはホント自重しよう。
ただし、ある程度厚みのある本だと、本端のページ厚分だけ指を掛けられる領域が増えるので、それを勘定に入れて削ってしまう手はある。特に同人誌で厚みがある=文字数減らせなかった=印刷代涙目で少しでもページ削りたい、という状況は想像に難くないので(笑)、その辺は読みやすさ・見た目の印象とのトレードオフで。
ちなみに狭くした天余白と等幅にすると、ちょっと見栄えがいいぞ。新書・文庫ぐらい小さい紙面だと、版面線は紙と同比率で引くより、等幅の方が向いてる気がする(サイズが小さすぎて比率の差が分かりづらい)。んで地はその版面線より内側に広く取ってしまった分、ノンブルを置いて重さのバランスを取るわけだ(後述)。
当然ながら、本を綴じるときのノリシロである。それを考慮して広く取っとかないと物理的に読めなくなる(当然だって? いやいや、それをすっかり忘れて小口並みの余白で原稿作る人もいるのじゃよ……)。
本が厚いほどノドアキは広く、薄ければ削れる(分かるよね)。これはもう似たような厚さの商業本をお手本にして、実際開いて見たり測ってみたりするのが一番だ。特に、左手側に注目しよう──大抵の人は本の左側を「丸めて」開くので、ノドが右側以上にカーブの下に隠れて見えなくなるのだ。左のノド側行を見るたびに力を入れて本を開いたり、本を左に大きく傾けたりするのはやっぱり疲れる。軽く傾ける程度で読めるよう配慮しよう。
フォントサイズの指定は悩ましい──ジャンルの年齢層にも依存するので一概には言えないのだ。これも商業本を参考にしつつ、9-11ptぐらいで色々試してみるといい。
ただし、デジタル入稿なら特に、フォントはインクジェット印刷よりも細く綺麗に出る。入稿形態にも寄るけど、8ptぐらいでも細部が潰れることはまず無いので、そこは家庭用プリンタに騙されず印刷所を信じてみよう。それこそ印刷機を保有してる印刷所そのものに聞いてみるのも手だ。
んで、書体。縦書き小説本なら、黙って明朝系にしとけ。ほとんどのゴシック系は横書き向きの字形なので、特に行間を詰め気味にした時に縦読みならぬ「横読み」されやすくなってしまう。字形が「横長」なフォントは要注意だ。
(逆に言えば、横書きになるノンブル等はゴシックアリアリちうこと。)
丸ゴシックや手書きフォント等のファンシーな書体は正直お勧めしないし、楷書体もアリなようで印刷すると結構重くてダルい。が、ジャンルによってはそれが自然というところもある。自分のジャンルや読者を良く見て考えよう。……ただし、何の考えもなしに細丸ゴシックで小説本を作ると、一気に厨二臭くなるのは確かだ(苦笑)。やるなら明確な意図を以って。
なおフォントについては、MS明朝に満足できなくなったらダイナフォントのDF平成明朝、華康明朝辺りが安くてお勧め……と書こうと思ったのだが、最近見たら普通に高かった(汗)。昔は何故かソースネクストの爆安パック(確か3000円程度)で買えたりしたのじゃが……。別途Adobe系アプリを買ってるなら、小塚明朝がついてくるのでそれを使うのも手だ。
これまた、狭くすると読みづらいだけじゃなく、素人感・貧乏感溢れる紙面になるレイアウトNo.1。特にフォントの都合も相まって「横読み」できてしまうレベルだと、タダでさえ敬遠されがちな小説本が中身以前のところで蹴られてしまう。
とりあえず行送り150%(行間50%)以上を目安にしてみよう。広ければ広いほど、お上品に見えるのは確か。特にルビを入れたい場合、150%以上ないとルビサイズが3pt以下の米字になってしまうしね。逆に「詰め込んでる感」がウケるジャンルもあるのだけど、それでも140%を割るのは「作り手が思っているより」冒険だ。
なお、字間はデフォルトから弄らないこと。フォントが想定している一番読みやすい字間を崩すなかれ。
意外と無頓着に配置されてる事が多いのが、このノンブル(ページ番号)。
場所としては、天に置くか地に置くか(さっきの如星お勧めなら、地)。その上で、中央揃えにするか、小口揃えにするかの2択になる。好みの問題だけど、書名や章題を一緒に入れたいなら小口寄せ一択。地を贅沢にとってれば、2行化して中央もアリだけどね。
小口寄せにする場合、何処に寄せるかってのもポイント。パターンとしては
ノンブル全体の外側端を小口余白と揃える(お勧め)
数字部分の内側端を小口余白と揃える
数字の中央を小口余白の中央と揃える(小口が広くないとダメ)
の3つぐらいが「締まりのある」配置になる。
さらに、天・地の中での「縦位置」ってのも決めなきゃいけない。無造作に配置すると結構目障りだ。これは2パターンぐらいしかなく、
天地の縦幅の中央と、ノンブルの縦中央を合わせる
横方向で決めた小口からノンブル端までの距離と、天/地からノンブル上/下辺までの距離を合わせる
でOK。ちなみに中央揃えにしたなら横方向は(紙全体ではなく)本文エリアの中央と揃え、縦方向は天地幅の中央一択になる。これらのセオリーから「外す」時には、やはり明確なデザイン上の意図が欲しいところ。
色々と微調整してるけど、大体こんな感じ。
ご参考までに。……とらドラ本はまだ在庫あるので是非買ってみてくださいw
案の定やったら長くなってしまった……。とりあえず本文についてはここまで、次回は本全体の「装丁」に関する領域を説明し、製作編の締めにしよう。
というわけで、続く!
追記:後日「フォローアップ」をちまちま書いてます。
先日発売の月刊ホビージャパン誌にて、オルタの戦術機短編シリーズ「TSFIA」の新話を書かせていただきました。遅ればせながらご報告を。
ここ数回は毎月如星担当にて執筆させていただいておりますが、今回は何せ新登場のフランス機体・ラファール。そして文筆面でのキャラ造型を一からやらせていただいた新キャラが登場するとあって、かなり気合を入れさせていただきました:)
イタリア好きの如星にしては珍しいフランス人少女、ベルナデット・リヴィエール。……キャラデザを拝見して本名や台詞には一部ネタを仕込ませていただきましたが(笑)、むしろネタというより、新しい一人のキャラとして、そして主人公のイルフリーデが初めて出会う「他者」であり「違う生き方を貫いている衛士」という形で、今後の身近な「最初の壁にしてライバル」に育てられてばいいなぁ、などと考えながら台詞等々組ませていただきました。実際、スカッと気持ちいいお嬢さんって書いている側も気持ちいいモノなので:)
TSFIAシリーズにつきましては、更に次回以降7月、8月、9月と、如星執筆にて引き続き「熱い」物語を考えておりますので、機会がございましたら是非お読みいただければ幸いです。この夏はオルタが熱いぜよッ!