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如星的茶葉暮らし

■ 10月 ■

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酒の一滴は血の一滴。茶の一滴は心の一滴。ネタの一滴は人生の発露。


 

【2009-10-11-日】

気がつけばまた半月

また半月も更新をサボってしまいましたね。うぐー。

別段原稿が忙しかったというわけでも無く。一時期は別原稿もコンテンツ摂取も気力が追いつかなくて、twitter封鎖期間なんてものも設けてみましたが、さしたる効果が上がったわけでもなく。人間やる気が無ければヒマ潰しという名の現実逃避なんていくらでも思いつく、という良い証左ですね。

イタリア系オンリー即売会・酒やらチョコやら野菜やら

新宿伊勢丹で恒例の「イタリア展」をやってたので久々にイタリア成分を補給に。実は初日である6日にも、仕事を早々に切り上げいそいそと出掛けてってたのだけど、さておき両日合わせて軽くレポなど。

そもそも「イタリア展」とは基本的にイタリア食材・酒の販売フェアである。数年前に銀座松屋が始め、しかし今ではすっかり伊勢丹の定番になってる催事なのだけど……。数年前の開始当時、オイル等を始め瓶詰め食材やら酒(ワインはともかくグラッパ等)やら、こういったイタリア食材の小売店などは巷にほとんど無く、そこはレストラン等々向けの卸でしかなかったような商品ばかりが手に入る貴重なイベントであったのだ。

しかしその後、この手のイベントは少々価値を減じたように思えた。昨今はイタリア食材専門店もいくつかできてきたし、明治屋や成城石井のような店も、そしてデパ地下なども、マニアックなオリーブオイルやらドライトマトやら、昔は手に入りづらかった代物をどんどん扱うようになり、更には俺の大好物であるイタリア菓子でさえ日常的に買える店ができてしまい、イベント開催中と聞いても「まぁ時間が合えば行くか」程度の存在になっていたのだ。特に「海外の超有名リストランテのメニューが食べられます!」などという、オバサマ方大行列な代物が呼び物になってきていて、少々うんざりしていた面もある。

しかししかし。それでもなお、やはり行く価値は断然ある、と感じ始めたのがここ数回。理由は至って単純……というよりは、変わっていない。これだけ小売で色んなイタリア食材が手に入るようになった今だからこそ、相変わらず卸でしか商品を扱っていない店の出展が増えてきたからだ。特にこれは、ワインなどという超メジャーな酒種でも言える。ワインブームを一度経験し、それなりにワインを飲む習慣が根付き、それなりのワインが日常的に買える様になった今の日本にあって尚、現地に飛び込んで行って趣味全開の酒を探し出し、何とかして数百本だけ輸入してくる、なんて根性の輸入代理店がズラリと出展してたりするわけだ。もちろんワインの飲めない如星がそんな事情に興味を持つぐらい、ワインだけではなくグラッパ他蒸留酒などでも事情は同じなのである。

何のことは無い、オタク趣味がメジャー化した後でもなんら変わらず活動を続けている、即売会みたいなモンである(というか即売会って本来同人イベントのことじゃないよね……)。同好の志同士が好きモノならではの会話を楽しみ、品物をやり取りする様は、固有層の強いオンリーイベントや創作系の雰囲気に良く似てるのだ。貴方が「島中巡り」を楽しむタイプの同人趣味者なら、きっと分かってもらえると思う:)

戦利品開陳・酒三昧

さてさて、今回最大の戦利品はやはり酒。まずは前回惚れ込んだ「フォルテート・デッラ・ルーヤのグラッパ」。写真中央の透明なボトルがそれで、見ての通り樽熟タイプではなく、ぶどうの果実味がそのままストレートに生かされた、甘味の素晴らしいグラッパである。今回はその原酒である(グラッパはワインの絞りかすを蒸留して製造する)貴腐ワイン「フォルテート・デッラ・ルーヤ」も確保してみた。こちらはまだ飲んだことが無いので、抜栓の日が本当に楽しみ。

更に、写真左端に写っているのは同じ作り手がレ・グリーヴェなるワインから蒸留、こちらは樽熟をキッチリ利かせた琥珀色の「グラッパ・レ・グリーヴェ」だ。樽香好きにはたまらない、それでいてぶどうのあの皮や種と言うか、果実の旨いタンニン風味がしっかり感じられる逸品である。

この他、ロンバルディア地方から樽香の強いグラッパを一つ、そして醸造酒が飲めない如星としては珍しく、地味(ちみ)溢れる「キッカ・ドルチェ」なる甘口の赤ワインを購入。何処かヴェネツィアの甘い赤を思い出させる味わいであった。

グイド・ゴビーノ

今回のイタリア展には、如星が惚れ込んでいるイタリアのショコラティエ「グイド・ゴビーノ」がバールを引っ提げての登場していた。しかもバンコ内にはグイド・ゴビーノ御大自らが来日、エスプレッソとチョコレートを使った三層ドリンク「ビチェリン」を手ずから作っていたのである。これは行かざるを得ない:)

もちろん、通常の買い物もキッチリと。今年のバレンタインシーズンで驚倒した「クレミーニ・アル・サーレ」、オリーブオイルと海塩で組み上げたプラリネ・キューブを真っ先に確保。今のところ如星内トップ評価のショコラである。

またスパイス・ハーブ好きとしてはピンクペッパーやオレンジフラワーを使った「フレグランツァ」タブレットシリーズも落とせない。いわゆるフランス系ショコラティエより、イタリア勢(そしてスペインも。最近カカオ・サンパカが日本にできて嬉しい限り)はハーブやスパイスを積極的に取り込んでいる印象がある。もっと常設店を作って欲しいものだ……。

野菜、そして食材

さて、今回ちょっと変わった仕入れ品と言えば、野菜だ。海外旅行で市場などを覗かれた方なら、どうせ万国似たようなモノだろうと高を括っていた野菜が、実は世界各地で全然ナリも味も違うことに驚いた経験があるかもしれない。イタリア野菜も同じ、イタリアどころか国内各地方ごとに異なる、見たこともないような野菜がずらりと並んでいたりする。

今回はまずはイタリアニンニクを干し吊り丸々1本分(7-8個だろうか)確保。日本のニンニクも(青森産など)非常に旨いのだけど、一方イタリアの品種は辛味が少なく香りが強いタイプ。よくパスタ等イタリアンのレシピで「生のニンニク」を使うものに出くわすが、あれはイタリアニンニクが前提なんだろうなー。

次は玉葱にも似た「エシャロット」。日本でよく見掛けるラッキョウぽい「エシャレット」ではないw 炒めて香りの良い野菜とのこと、中華鍋愛好家としては見過ごせずゲット。またヴェネツィアではお馴染み「カルチョーフィ」、いわゆるアーティーチョークを一つ買ってみた。画像検索をしてもらえば分かるけど、そもそもどう食ったらいいかすら判別しがたい代物だ。店の人にも調理法は聞けたし、今時はGoogle様があるので幾らでも調べようがあるけど、初めて接した日本人はさぞ戸惑ったことだろう(そして、戸惑った体験が色々ぐぐれる!)

この他、やはり産地・品種によって辛さや香りが全然違う唐辛子(ペペロンチーノ)、そして店の方の口上に乗って、ついつい生ポルチーニなんて高級食材も1本だけ買ってしまった。北朝鮮の松茸ですら買ったことがないというのに……w ちなみに「ポルチーニ粉」なんて変わったものも買ってみた。元々乾燥品が主流のポルチーニ、戻し汁をリゾットやスープの汁に使うと言う辺りは日本の乾燥食材となんら違いはなく、その「戻し汁」を手軽に作れるという代物だ。一応本物の乾燥ポルチーニを粉砕したものであり、松茸雑炊の素よりはまっとうなポルチーニ風味が楽しみえるはずである(笑)

現地ではイタリアンの出店でアランチーニ(イタリア版球形焼きおにぎり)やラザニアなどを立ち食い、疲れればグイド・ゴビーノのバンコでエスプレッソをやり、腹がくちくなればリモンチェッロの試飲で食後酒にしたりと、散々っぱら楽しんで満載帰還である。いやー、やっぱ楽しいねぇこういうの。しかも楽しさは、購入品を封切るときにも続くのである:)

(2009/10/11)

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