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如星的茶葉暮らし

■ 05月中旬 ■

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酒の一滴は血の一滴。茶の一滴は心の一滴。ネタの一滴は人生の発露。


 

【2006-05-13-土】

如星的茶葉人生アップデート

久々に最近の如星的茶葉話など。ダージリンからハーブまで。

ダージリン:ムーンダコテ

マリアージュ・フレールにて3月に続き今年の春摘み新茶をゲット。いわゆるファーストフラッシュである。3月のが異常に早かったというべきで、この辺りが本来の日本到着シーズンだ。まりあげには全部で3種類到着していたけど、余所で聞いたことの無かったのでこのムーンダコティ農園にしてみたのだ。

買う時に店員さんも言ってたけど、とても緑の香りがどっしりとした新茶である。3月超早摘みのナムリンのみならず、他の2種と較べても味わいのボディ、青々しさ(草っぽさ)が強い。香味と地味を合わせてがっつり飲みたい如星みたいなタイプにはとても向いているお茶だ:)

ちなみに店員さんは「よく知られた農園ではあるのですが」と言ってたけど、少なくとも如星にとっては初耳だし、ぐぐっても全然掛からない農園なんだけどどうなんでしょ……。

ハーブティー:SMNティサーナA17

以前SMNから仕入れたハーブティーのうち、めでたく如星邸常備茶リスト入りを果たした三種の一つ。パッションフラワー・ウッドラフ・ポピー・カモミール・オレンジフラワーで構成されている。

実は如星にとってカモミールは長いこと苦手なハーブであった。妙な甘さがくどくて、食後茶と言われても余計に気持ち悪くなったりと。……ま、それはどーもよろしくないカモミールを飲んでいたせいであることはNYXの旨いカモミールティーで判明してたのだが、このブレンドに到ってはその更に上を行く完成度。カモミールのリンゴめいた甘味を、他のフラワー系ハーブが華やかに包み込んでいる感じである。超・リラックス系ハーブティーとして完全に如星の茶葉生活に根付いた模様。

ハーブティー:SMNティサーナA06

こちらも常備茶リスト入りを果たしたハーブブレンドの一つ。レモンバーム、リンデン、ペパーミント、オレンジフラワー、カモミール。このミントがドライといえど実に強烈で、うっかりティーポットの蓋を開けて覗き込むと眼に沁みるほど(笑)。ミントの鮮烈さに加えてカモミールも入り、食後に最適なお茶である。

そして最近このハーブティーの「二次利用」が気に入っている。流石に中国茶ではないので、二煎目を入れても薄いお湯になってしまうのだが、そこで敢えて冷水を(ハーブが温かいうちに)注ぎ込み、数時間放置しておく。こうすることで、ハーブティーほど強さはなくとも、飲み口のよい「ハーブウォーター」が出来上がるのだ。それこそ次の食事時や寝る前などに、ゴクゴクと飲み干してしまえる、そんな旨い水である。西欧人がマズい水を誤魔化すために使ったという逸話が思い出されるね:)

番外編:雲南紅茶+エルダーフラワー

ハーブティーと一緒に購入したシングルハーブ・エルダーフラワー。西欧で万能薬とも呼ばれていて、伝承のみならず実際にインフルエンザにある程度薬効が認められているとか。イギリス人はこれのシロップが大好きらしい。メロンとマスカットの合いの子のような甘い香りのするハーブで、如星は「紅茶に少しブレンドすると旨い」と聞いて、混ぜ込み用に買ってみた代物である。

実際、強烈に甘い香りが経つ。最初は「ほんの一摘まみで」と言われてたのを忘れて茶さじ2-3杯分ぐらい混ぜてしまったのだけど、もうエルダーフラワーの香りで紅茶が消し飛んでしまうほどであった(苦笑)。まっとうな量としては耳掻き2-3杯分、茶さじの先に少しすくって一ポット分の紅茶に混ぜてやるだけで、紅茶の奥底からふわっとエルダーが香る様が楽しめる。

甘味が出るので、紅茶側は余り甘い香りのしないお茶の方が合うかとも思ったけど、試してみるとむしろ元からの甘味を持つ紅茶の方がしっくり馴染む。セイロンならキャンディがいいし、今のところ如星のお気に入りは悟空茶荘で買った雲南紅茶とのブレンドだ。雲南紅茶単体だと逆に甘さが気になってしまうこともあるので、そこに甘い香りを持つハーブを混ぜておいしくなると言うのは、ちょっと考えてみれば不思議なものである。ティーブレンドって一筋縄では行かないという良い証左かな。

現在レピシエ(今はルピシアに変わったんだっけ)に到着した春摘みダージリンを更に発注済。

今日の一滴="−−−−" (2006/05/13)

【2006-05-15-月】

プラネタリウム連想

そういえば先週の金曜日は会社帰りに相方を誘い、数年ぶりにプラネタリウムに行ってみた。先週レビューを書いたplanetarianに、物の見事に感化されたというわけだ(笑)

プラネタリウムは数年ぶりというより十数年ぶりというべきで、前回の記憶は……なんかニューヨーク辺りで行った覚えがないでもない程度。今回は不意に湧いたプラネタリウム欲に加えて「6月までは真綾ボイスでナビゲーション」という大きな餌に釣られ、池袋のスターライトドームまで足を伸ばしてみた:)

ま、感想としては想像してたより小さかったなというのが一つ。あと真綾さんが登場するオーロラ番組は「CGプラネタリウム番組」ってことで恒星球による上映に実写が混ざっていたのだけど、この実写部分が今ひとつ画質が荒い。また実際に写真で撮られたにエフェクトを掛けてオーロラを作っているのだが、正直「本物」の静止画を使うより、それこそ割り切ってフルCGで動き回るオーロラを作った方が良かったように思う。あと番組上北極圏の夜空を映していたので、見慣れた空、見慣れた回り方の美しい再現を見る、というような要素が無かったのは少し寂しい。やはり通常のプラネタリウム番組の方が如星的には良かったかもしれない。

ま、その辺は如星の中では余談前座だと割り切って、恒星球の映し出す夜空自体をのんびり堪能してきた次第である。坂本真綾の声で静かに星座の伝説が語られるシーンは確かに空間そのものが優しく、美しく、またありきたりな連想と分かっていても、planetarianのワンシーン・ゆめみの解説声が脳内で重なってゆく。……人が星を見上げ、そこに見た見果てぬ夢──うむ、ちと涙出そうになる。暗くて助かった:)

さて、ちょっとしたプラネタリウム欲が湧いてきた今日この頃、この際ということで次はあの「メガスター」でも見に行こうと画策中。選択肢は生田緑地お台場かと随分対極的だけど、なんと相方が子供の頃生田緑地の常連だったらしく、今その地にメガスターが導入されているのを知って驚いたらしい。とりあえずは先にそちらを見に行くとしますかな。

今日の一滴="−−−−" (2006/05/15)

【2006-05-16-火】

変なドリンク:FIREFLY

最近色々あって品川に出勤してるんだけど、東口駅前に輸入食料品を扱う小奇麗な店ができている。朝方もカフェ部分と通路に面したキヨスクスタンド部分は開いていて、コーヒー飲んでったり、水を買ってったりはできるようになっているのだが、さておき。

そのスタンド側で、ふと不思議なドリンクを発見。FIREFLY。空手キックのおっさんがモノクロでロゴになってるという意味不明のボトルである。ガラス瓶がつや消しフィルムに包まれている奇妙な質感。幾つか種類があるようだけど、どれも果汁ベースに色々ハーブがぶち込んである辺りが、元よりスパイス好き・最近のハーブ好きの如星の興味を引いた。選んだのはオレンジにエルダーの“Self-Defence”。謎過ぎる。毒汁ドリンカーとしても好奇心が沸々と湧く代物だ:)

ま、味の結論から言うとなかなか旨い。どうやらイギリスからの輸入物のようで、薄めのオレンジジュースからエルダーやタイムの香りが喉越しに立つ。果汁100%ではなく水で薄めた「ドリンク」である点は明記してあるので、別に薄いところは気にならないし。だが問題は購入時に発生したのである。……これは300mlぐらいのふつーの小瓶で、キヨスクの良くあるふつーのセルフ冷蔵庫に入って売ってる。面白そうってことでひょいと取って気楽にカウンターに置く。誰だってそーする。

「これください」

「はい、525円になります」

( Д ) ゜ ゜

高ぇよ! しかしこの状態から冷蔵庫に戻せる根性は流石にないです。はい。

というわけで、ちょっとしたアルコール並の値段を出せる程旨いかというと、微妙。突っ込まれまくったハーブに健康食としての価値を認められる人ならいいのかなー。ま、気分の良い朝とかならご褒美的に買ってしまうかも。

今日の一滴="清涼飲料:FIREFLY Self-Defense" (2006/05/16)

【2006-05-17-水】

変なドリンク2:エルダーフラワーソーダ

昨日に続いて物珍しいドリンクをまた一つ。エルダーフラワーの炭酸だ。

エルダーというコトで欧州かと思ったらカナダ製。甘みは少なめで、最近馴染みになったエルダーフラワーの独特の甘い香りも抑え目で、飲み下した後に喉の奥から香る感じ。さっぱりとした飲み物だ。

ちなみにお値段はふつーの200円ぐらいだったと思う。しかし今日もネタが一つ。……手が滑って1本買う前に木っ端微塵にしました。垂直に落ちたのでもう美しいぐらいに粉々。呪われてるのか俺。

議論話補足・論点ってなんじゃい

以前書いた議論の話は妙にウケが良かったようで、いくつかコメントも頂いたので若干補足。それから別に一つ議論ネタで最近思ったことを書いてみよう。

まずは補足。ちょっと見かけた誤解なのだけど、そもそも論点とは「各々の主張」のことではない。お互いの主張を理解するってのは論点の共有とは(必須だけど)また別の話で、ここで言う「論点」は単純に「議題」のことである。つまり先の例で言うならば、「地域と名産、どっちの話をするの俺ら」という対話が議論以前に必要ってコト。当たり前のようだけど、お互い主張のキーポイントを明確にまとめて交換しないと成立しない(主張の理解までは不要)。またそもそも最初のすれ違いで感情的になっていて、東京が関東だと知りつつもヒヨコ論を引っ込められないってケースを良く見かける──関東話を認めることが自分の敗北とでも思っているかのように。

ま、そういう心理障壁って誰しも少なからず持ってるものだし、また例え自分の側がその辺を理解してても、相手が拘ってるならやっぱり議論は成立しない。万人が議論技術を持ってる理想の状況なんてそうそう生まれるもんじゃないし。それに対する一般的な解決策の一つが、論点を整理する第三者、モデレータを呼込むという手だ。双方を軽くいなしつつ、一つずつ片付けやしょうと提案する腹芸的存在、本当の意味での「議事進行役」である。

しかし、そんな第三者が偶然介在するケースだって稀である。だから前回言ったように、まずは「当事者である自分が頑張ってモデレータもやる」という道を選ぶことになる。率先して自分の側から論点のズレを認めてしまえれば(決して「おまえがずらしている」ではなく)、中立じゃなくてもそれなりに目は出てくる。もちろん、高等応用として自分の得意な側に引きずり込むという技は常に存在するけど、バレたら余計に話が拗れる生兵法は揮わない方が無難だ。あるいは、積極的にモデレータ技能のある第三者を呼んでくるって手もある。少なくとも毎回議論の相手が「議論のお作法を知っている人」であると期待するよりはマシだし、裏でこっそり頼んだっていい(ただし決して援護射撃は頼まない。それも別の話)。議論の成果のためなら裏ネゴ大いに結構である。

……とまぁ色々書いたところで、でも結局は前回の結論に到達する。そう、これらの事はすげーメンドくさい。だからこそ、議論から得られそうなモノに価値を見出せなければ適当に流して済ませてしまうのだ。ま、如星は「議論」から、ひいては自分とは意見を異にする人から何かを得るのがとても好きな人種らしく、結構頑張ってしまうことが多いとは思うのだけど:)

ちなみに冒頭で触れた「別の議論ネタ」、相手の主張を理解するって話は別途書くことにしよう。

今日の一滴="−−−−" (2006/05/17)

【2006-05-18-木】

事務的メールのお作法

これだけメール連絡が普及した今ですら、意外なほど「メールの書き方」を知らない人に結構出くわす。

あ、ここで言うメールってのはPC等でやり取りするメールの方ね。近年はメッセや携帯系の普及もあって、PCメールはビジネスメールというか、プライベートでも事務連絡的なメールが中心になっているように思う。雑談系については前述のPCメール以外の媒体が増えたし、メール連絡の王道だったスケジュール調整すら、別途wikiなんかでやる場合もある。しかし今でも非同期・積み上がり媒体の代表として、相変わらず事務連絡系はメールの担当分野にしてる人が多いんじゃないかな。

ところが、それだけ事務連絡メールが飛び交っているにも関わらず、そのシンプルな「書き方」を知らないまま送りつけてくる人がいるわけだ。と言っても、別に古き良き「お作法」、名乗り方やらアドレスの書き方、何文字で改行すべしみたいな「マナー」の話ではない。そういうテンプレ面も基本として大切ではあるけど、ここで触れるのはもっと「内容」の話、端的に言えば受け取った相手が対応に困るようなメールのことである。

さて、事務連絡メールの本質って何だろう。これは「相手に何かを依頼すること」に他ならない。返事をあまり期待しない雑談ならともかく、普通メール送信とは「相手に何かアクションを起こしてもらう」のが目的なのだ。……と書くと、FYIと称して有用そうな情報をただ流す場合もあるじゃないかと反論されそうだが、FYIはむしろ「この内容を『眺めとく』だけでいい」と、立派に相手のアクションを明示した理想的メールの一つの形である。そう、これこそが「メールの本質」から導き出される、「メールのお作法」の基本中の基本、すなわち「相手に何をして欲しいか明確に書く」という大ルールだ。

そんなこと当たり前でやってるはずと思うかもしれないけど、「明確に書く」ってのは「メールの何処かに書いてある」とも「よく読み込むと分かる」とも違う。しかし一方で、明確に書くという大ルールの実現は結構簡単なのだ。以下に2つほど悪例を挙げて、その対応としてシンプルな2つのルールを提示しよう。

前口上系(戦争が終わっちまうぞアホ系)→目的先行型へ

特に普段馴染みのない相手などに送る場合によく発生する。「私は何処の何某で、何処とは云々でして、この度はアレコレにつきまして当方が主催となっており、〜様とは何処で云々……」などなど、自己紹介のみならずメールを送るに到った経緯が延々と書いてあるパターン。いや経緯が重要な場合もあるけれど、逆にその状況って「相手は何故メールが来てるのかあまり見当がついていない」状態なのだ。それなのに、延々と目的の分からない文章を読まされる。鬼のように苦痛である。

よってこれの対応策は簡単。「先に簡単で良いからメールの目的を書け」。この度は〜様に×××についてご回答いただきたくメール差上げました。以上一行。それだけで、どれぐらい本腰入れて読むべきかが先に分かる。メールを多数処理してる人の場合は特に重要だ。用件の細かい説明が無くても「スケジュール調整です」ぐらいは言えるだろう。

その上で、本当に経緯が必要ならさらに本題の用件の後にでも付記すればいい。大体「経緯説明」なんて、馴染みの薄い相手にメールを送りつける「言い訳」を送り手がしたいだけの場合がほとんど。もう送りつけちまってるんだから腹据えて、相手が怪訝に思わない程度に説明すれば十分なのだ。

曖昧系(つまり貴様を撃てばいいのかよ系)→具体的行動型へ

いかにも日本的な動詞表現で終わっていて、具体的行動が書いてない場合。結構「うっかりやってしまう」ことも多いパターンだ。酷い奴になるとFYIと区別のつかない、情報送りっぱなしで目的ゼロ記述なんてのもいるけど、まぁそれは論外で。

具体的に挙げるなら、「〜をご検討ください」「以上〜ですのでご確認ください」なんての一番ありがち。その何処が悪いのか? だって「検討」してどうすりゃいいのさ。「確認」ってそもそも何よ。例えば検討なら「OK/NGを早く返事しろ」なのか「後日〜の際にご意見を伺いに行くぜ」なのかまで書いて、初めて「メールの目的」が書かれた事になる。確認なんてのも曖昧な日本語の最たるモノで、いやメール見て異議が無ければ確認は終わりなのか、いや確認して問題ない旨の返事が欲しいのかがさっぱりわからない。

いずれの場合も、超具体的な線まで相手のリアクションを絞ってあげるのが重要なのだ。そりゃ「ある程度考えれば」推測つく場合もあるけれど、推測ってのはハズれる事もある。先に書いたように、送付先って「頼み事の相手」なんだから、頼まれる側の悩む負荷を極力減らして送るのが礼儀でもあるし、間違いを減らすという効率にも繋がっているのだ。

ちなみに補足すると、本当は「リアクションの締切」もキチンと提示した方がいい。これは如星も忘れがちなので自戒の意味を込めて。今週中、明日まで、次に会うまでならいつでも──期限を切るのは失礼だという人もいるけど、実際には期限があるんだから曖昧にしておいてトラブる方がよっぽど失礼。あと「至急」は本当に即見た瞬間のリプライ必須、電話でも合わせて催促しちゃうような場合専用にすべし。実際には明日の昼まででOKなら、素直に明日の昼と書く方がお互い楽だし、至急を連発する奴なんてすぐ狼少年状態になるからね:)

以上、実体験の愚痴が混ざっているので思いのほか長文になってしまった……。しかしこの内容は別に事務メールに限らず、コミュニケーションの基本ではあると思う。ただ「非同期」で「一回の長文で意思の多くを伝える」メールメディアでは、この基本的な分かりやすさが特に効いてくると思うのだ。

……ね、だからリプライ欲しいなら「確認」じゃなくて「回答」って書いてくださいよ某委託販売店様。やり取りの手間も掛かるわ販売開始も遅くなるわで散々だったよ今回はorz ……そこ、結局理屈っぽい愚痴日記だとかまったくの事実なので言わないように。

今日の一滴="−−−−" (2006/05/18)

【2006-05-19-金】

無人島に持っていく酒・Lagavulin

この世には数多の酒があり、そこに旨さで一元的な優劣を決める意味は当然ない。モルトとワインのどっちが旨いかなんて話は好みの問題だし、あるいは同じ酒でも、例えば5年物より20年物の方が「旨い」というわけでもない。「年月が得るものもあり、年月が失うものもある。それはただ個性の違いに過ぎない」というアイラの作り手の台詞にあるように、年月が加えた個性を楽しむってだけの話だ。年代物は確かに高いけど、それは熟成させることで増える損失・希少性等の対価を払ってでも、味わえる個性の幅を広げたいという酒飲み&造り手の根性の表れに他ならず、例えば20年もの「しか」作らないのでは片手落ちなのだ。──そう、もし酒全体に好みを越えた評価を下すとすれば、旨い酒を飲まそうという作り手の熱意と、その熱意が結果=酒に結実しているか、という二点で問うてもいいかもしれない。

……などと、のっけから酒飲みがバーで語りそうな大真面目風味の御託を並べてしまった:) さておき、もしそれでも如星の中で酒を一本選ぶとすれば──そう、例えば無人島に一本だけ酒を持っていけるとしたら。散々迷うだろうけど、やっぱりLagavulin 16年を選ぶと思う。あのアイラ臭さがしっかりしてるのに、飲み口に尖ったところのない丸さ、そして濃厚なボディのバランス。「円熟」とはこういう酒の為にある言葉だ。色んな酒を飲み歩いても何故かふらりと戻ってきてしまう、如星に取ってはホームグラウンドのような酒なのだ。

さて、折角の金曜日、されど巧いこと酒もメシも相手が見つからず、おまけに帰宅後にモツ鍋ぱーちーがコールされているという不幸も重なりふくぞうめ呪われてしまえw)、こーなったら自宅で旨い酒飲んでやるヽ(`Д´)ノ、と自宅の酒棚で目に入ったのがそのLagavulinの未開封ボトル。よーし今日は口開けしちゃうぞパパという次第で、折りしも買い揃えてあったサマーコンテ、調理用に買ってきたが旨いのでツマミにしているペコリーノを並べ、一人酒盛りと相成ったのでありました。……本当に嫌味でなしに、これがまた鬼のように旨いのだ。久々に飲んだラガヴーリンは相変わらずの実力を喉元に示してるし、おまけに偶然買ってあったこのチーズが絶妙。ある意味納豆めいた発酵臭のコンテは半端ない甘みだし、ペコリーノ・ロマーノもあの「旨みの結晶」がザクザク入ってる。幸せすぎて思わず笑ってしまったぐらいだ。

たかがグラス2杯の酒と、小皿半分のチーズ。両者は決して馬鹿高いモノではなく、しかしそれが揃うだけで人生こんなにも幸せになれるのだ。……ふと、これなら無人島でも大丈夫なんて考えが酔っ払いの脳内に紛れ込み、斯様な駄文日記を書かせしめる次第となったのです:) ま、無人島にハードな酒を持って行ってもチェイサーに困りそうだけどね(困るポイントはそこかい)

今日の一滴="モルト:Lagavulin 16年" (2006/05/19)


 
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