VERBA VOLANT, SCRIPTA MANENT.

如星的茶葉暮らし

■ 04月下旬 ■

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酒の一滴は血の一滴。茶の一滴は心の一滴。ネタの一滴は人生の発露。


 

【2007-04-22-日】

やっぱり好きなイベントの匂い

サンクリ35に参加された皆様、お疲れ様でした。

無事当人も朝から13時ぐらいまでは参加できました。結局コピ本は出せませんでしたが……。コミケなどでは毎度「スペースに行っても本人がいない」と言われてしまう如星、今回はほぼ自スペに座り続け、お越しいただけた皆様に対し店長のみに可能な唯一の対応をさせていただいておりました。すなわち新刊ありませんと額を机に打ち付け謝罪。……いやー、神慮の機械としてイベントに参加し、新刊が無いのは実は初めてなのですよ。元々夏冬と、本当に気が向いたとき=本がある時に出るオンリー以外のイベントには出ていなかったからなのですが、それにしてもこれは苦しい。スペ番チェックして直行して来てくださり、新刊ありませんかと聞かれるときのあのダメージったらないですな。ハイ、今後とも容赦なく鞭打ちご鞭撻にいらしていただければ幸いです。続刊に期待していただけるのは本当に嬉しいですからね。

それにしても、やっぱり自分はこの即売会の匂いが好きなんだなと改めて思いますね。仕事上連続出勤中の待機時間を利用してまでの参加で、おまけに新刊もないけれど、それでも顔を出して良かったなと。開場前のざわつきつつ一点に向かって上がっていく雰囲気、必死でカバーを現地手折りしてる人々、会場で久々に出会う人同士の雑談。開場時の拍手、ちょっとコミケ風味に響いてくるスタッフの怒号。隣のスペースの方との同一界隈ならではの取りとめも無いお喋り、売り子しながら頬張る食事。スペース前に立ち止まってくれる方々、POPの能書きを指しながら作品説明をする様、まずは一冊お読みいただけると決まった時の嬉しさ(物書きの本は立ち読みじゃ分かりませんから買ってもらって初めてスタートライン)。周りで出ている新刊にインスピを得たり、あのデザインいいなぁ(技を)盗めないかなぁと考えたり、ちょっと作り手同士ならではの話を楽しんだり。───要は同好の志のコミュニケーションという、単純にして強力な愉悦なのですな。

正直同人活動などしてるとこの界隈の嫌な面も見えやすいですし、なんか最近は全体として商業主義に過ぎるなぁと感じることも結構あったりします。ショップがトレンドを人為的に造ろうとしている様とかはちょっとショックだったし。本質的に世の中一般に対しては現実主義者で、各人が欲望を追うのが一番と考えてる如星ですが、不思議なもんで同人界隈は唯一如星が「理想主義的」なモノを追ってしまうジャンルなのです。理想というか、その根源にある創作活動とファン同士の交流という面を青臭くも信じているというか。そのある種幻想的なモノへのエネルギーは多分即売会に来る事でしか補充できないんじゃないか、というのが最近の思いですな。そしてどうしてもネット界隈中心に話を拾っていると、先にあげたような「嫌な面」が殊更に目立って気が滅入ってきてしまう。いやいや、オマエの生きる道はここにキチンとあるよ、と再確認できるのが即売会という「場」のエネルギーなのでしょう。あ、別にネット系の情報収集メリットやコミュニティ生成能力を否定してるわけじゃないので念のため。

ともあれ、次回作に邁進するためのエネルギーはたっぷりと頂きました:) 乞うご期待。

追伸:匂いが好きと言っても、臭いじゃないので風呂には入ろうな諸君。

今日の一滴="−−−−" (2007/04/22)

【2007-04-23-月】

ギリシャタイムの蜂蜜と就寝前の弦外し

日曜日のイベント後にそのまま仕事に赴いたのだけど、思わぬトラブルがあって当日中に帰れるはずが結局タクシーを拾っての午前三時。もうザッとシャワーでも浴びて倒れ伏してしまえばいいとも思うところだけど、実はこういう状態の時って、肉体も思考も疲れきっているのに精神は昂ぶったまま、なかなか寝付けないことが多い。この手の半徹夜仕事を(原稿とかねw)やり慣れてる人なら何となく感じたことがあるんじゃないかな。特にタクシー内の半落ち状態から半端に覚醒してしまってたしね。

こういう時に如星が好んで飲むのはホットミルクである。元々鎮静効果があるらしい牛乳を温め、ついでに好みの蜂蜜でも混ぜ込んで一息つきながらゆっくり飲む。すぐに眠れるベッドを前にして回りくどいように思えるかもしれないけど、意外とこの方が寝つきが良いのだ。

ちなみにこれはラベイユで買ったもの。

その蜂蜜も、この日の疲れっぷりから「ええもん」飲んだろと思い、とっておきの「ギリシャタイムの蜂蜜」にしてみた。ギリシャタイムは「蜂蜜の王」と呼ばれていて、如星も実際試してみてその香りと「質感」に驚いた。見た目は澄んだ琥珀色で、いわゆる結晶が見える濁りタイプではない。それなのに、スプーンにとって見るとまるで水飴のようにねっとりぷっくりしているのだ。聞けば蜂蜜の中でも水分のかなり少ない方で、それでいて結晶化もしない稀有なタイプなのだとか。口に含むとざらつきのない甘味が実に旨い。ま、その分お値段もちと張る代物で、実は蜂蜜好きで色々買い込んでいる如星にとっても「取っておき」なのだ。

本当は白湯に溶かす、いやそれすらもったいなく思わずそのまま舐めてしまいたくなる蜂蜜をミルクにぶち込んでしまうのは我ながら随分贅沢な話だが、ええい構うものかこの香りは今の自分にとって何にも代えがたいのだ、とばかりにがばっとすくって投入。ここで半端にケチると全然香りが立たず却って無駄になってしまうしね。もちろんスプーンに残りついた部分はキッチリ舐めとり(笑)、部屋に持ち帰って椅子の上でゆっくりと味わっていく。リラックスという言葉の本来の意味、まさに弓弦を弛めるように気を落ち着けてそのまま就寝。ま、こういう一工夫は睡眠導入という現実として役に立つ面もあるし、またそういう工夫自体を楽しむってのが精神的にも結構重要だったりするのよねー。

今日の一滴="−−−−" (2007/04/23)

【2007-04-24-火】

ダブルスタンダード攻撃という錦の御旗

議論、というよりは主にフレーミングにおいて「ダブルスタンダードを指摘して相手を矛盾野郎扱いすれば勝利」という風潮がある。なんつーか、議論中の自説の主旨にダブルスタンダードが含まれてるならツッコミを受けるのも当然だと思うのだが、特にネット上の議論等において、過去日記やチャットログ等の「日頃の自分」にまで含めたダブルスタンダードを「矛盾」として突くのはエラく不毛だと思う。

実際のところ、生活全般におけるダブルスタンダードってのは人の性と言っても良い。所詮ヒトとは矛盾の塊、誰だって多少なりとも自分びいきや不都合に目をつぶる面があるし、日頃から常に言動一致首尾一貫した人生を送ってます、なんて心から断言できる人は神か自尊心肥大者のいずれかぐらいだろう。議論の枠から外れた、こういった過去の言動を含めたダブルスタンダード攻撃は、ネット上にはテキストという形で行動の記録が残りまくっているだけに、誰でも議論の本質に関係なく論者の背中を刺せるお手軽最強対人兵器になってしまっている気がする。中身は単なる人格攻撃の亜種に過ぎないのだが。

また一方で、ちょっとした発言の切れ端を捉えられて「ダブルスタンダード」扱いされてしまう事もある。これは人格攻撃ではなく議論の一部だ、と主張されると一応正論なので辛い。しかしまぁ、学術的に準備万端整えて行う公聴会みたいなモノならともかく、現実に身近で発生する「行きずりのネット議論」レベルでまで自説からダブルスタンダードを完璧に排除できる人も稀であろう。行きずりの議論にはどうしても日頃の「自分びいき」の主張が挟まってしまうし、その場その場で考えを形にしながら話すことも多いからだ。そしてやっぱり全発言ログが残ってるのでダブスタ攻撃に対しては脆弱性を残してしまう。

結局のところこの二つのダブルスタンダード攻撃は所詮「議論」ではなく「攻撃」に過ぎないのだが、そういう戦術を取る連中への対応は「議論の本質に関わる矛盾の解決」と同様の手法をとった方が楽だと思う。すなわち、最初からダブルスタンダードを消して完全回避を試みるのが不可能な以上、ある程度は受け入れて対応したほうが話を有利に進められるということ。例えば現在の論点と日頃の言動に関するダブルスタンダードを指摘されたら、もう素直に「指摘されてみればそうですね。自分の言動についても再考の必要がありますね。さて議論に戻りますが……」ぐらいの認め&スルーを発揮してしまう方がいい。論旨の中自体に些細な矛盾点を指摘された時もそう、結局は「重要じゃない方をサクッと訂正」が最強のメソッドだと思う。議論において刻々と自説が変わって行くのはむしろ普通なので、その建前的な面をくだらない煽りにも押し立てて進めてしまうのが一番現実的だったりするのだ。ダブスタ指摘は決して怖くナーイ。正面から向き合ってしまってクダサーイ。

あ、例によって如星に発生した具体的議論とは別段関係ない日記なので念のため:)

今日の一滴="白茶:マリアージュフレール「ブリュム・ド・ローズ」" (2007/04/24)

【2007-04-25-水】

春摘みダージリンと薔薇の白茶

ふと気がつけばもう4月も終わり、春なんてモノはあっという間に過ぎ去って、如星の大嫌いな梅雨と夏とがやってくる。忙しさにすっかりかまけていたけれど、茶飲みにとって春とは一年に一度の重要シーズン、ダージリンの春摘み(ファーストフラッシュ)が日本に入ってくる頃である。去年はマリアージュ・フレールの超早期便、初モノの初モノを楽しんだりもしてたのに、今年は5月も近いというのにまだ一つも新茶を試してない。これはマズいと思い立ち、早速先日仕事帰りに銀座マリアージュに寄ってみた。

今年入荷していたダージリンは三種。うち一つは去年ほどではないが早めに到着したもので、後の二つは最近入荷したもの。去年も書いたとおり、超早摘みのお茶は若干味や香りが弱いものだけど、今年の初入荷・ナムリンは決してそんなことはなく、むしろ後の二つよりも鮮烈な香りが楽しめるとか。結局ナムリンを含めた2種のダージリン、それからちと珍しい香り付けされた白茶を一種類試しにゲット。久々に茶飲みの至福──店員さんとだべりながら買う茶を思い悩む楽しみを味わってしまった:)

ダージリン2007春摘み:ナムリン(Namring)

まずは銀座店店員の間でも一番評価が高かったらしいナムリンを。缶を開けて茶葉を嗅ぐだけで、あの深い緑の匂いが香り立つ。実際入れてみると、キッチリとした渋み、シャープな味わい、そして抜けるように昇る青い香りと、確かに高いレベルでバランスの良いダージリンに仕上がっていた。まさに春、新緑を感じさせるお茶だ。

ダージリン2007春摘み:アンブーシア(Ambootia)

こちらはナムリンに較べると、香りも味わいも丸みのあるタイプ。少し低めの温度で入れてみると、まるでかぶせ煎茶のような甘みがぐぐっと引き立ってくる。実際何も言わずに人に出せば、日本茶と言っても信じてしまうだろう。といってもダージリン特有の、日本茶とはまた違う青臭さもしっかり漂い、ホッと一息つけるお茶である。

白茶:ブリュム・ド・ローズ(Brume de Rose)

え、白茶にフレーバーなの?と思わず聞き返してしまったシリーズ。中国茶の感覚からすると「もったいねー」とどうしても思ってしまうのだが、いやこれがなかなか、という店員氏の声を信じて一つ買ってみた。マルコポーロ等定番の香りもあったのだけど、折角なら白茶オリジナルのモノを、ということで選んだのがこれ、薔薇の香りの白茶である(文字にして書いてみると凄いインパクトだな)

で、早速飲んでみる。入れ方は白茶でいいと言うので、いつものホットカクテルグラス(耐熱フルートグラスなんてない……)に茶葉を投入、少しぬるめた湯を注いで茶葉が沈みだすのを待つことしばし。一口目を飲んだ瞬間、これはやっちまったかなという思いが過ぎる。何と言うか、香りがきつすぎるのだ。薔薇の青臭さというか、茎の部分の匂いも入っている感覚で、悪く言えば除虫菊の汁に近い(いや除虫菊を食ったことはないが)感じなのだ。決して嫌い一辺倒の香りではないのだが……。

しかし、何度か湯を継ぎ足してるうちに(飲みきらずに次々湯を足す飲み方)、程よい甘さと薔薇の香りに落ち着いてくる。3-4回湯を足してるうちに、すっかり病みつきの「延々飲めるお茶」になっていた。あー良かった、これは全然外しちゃいない、きちんとまりあげらしい銘茶でした。次回からは白茶であっても洗茶してもいいかもしれないなー。

今日の一滴="−−−−" (2007/04/25)

【2007-04-30-月】

プレチェネッラ新店舗に行ってみた

我が愛用のイタリアン、プレチェネッラ@横浜が本店隣に新たにピッツァ&軽食専門店をオープンさせたので早速行ってみた。

出店の計画は前々から聞いていて、特に予約を取らない、軽く前菜とピッツァ三昧が楽しめる店になると聞いて楽しみにしてたのだ。プレチェは今でも如星手持ちの店の中でもトップクラスのトラットリアなのだけど、如何せん人気が出すぎて今や予約なしの飛び込みは不可能、週末ランチでも厳しいという状況。ここのピッツァをふらっと思い立った時に食いに行けるってのは非常に助かるのだ。

新店舗はガラス張りで開放感溢れる雰囲気。この季節はテラス席との境を完全に開け放ってオープンカフェのようになっている。プレチェ本店側がスタンダードなトラットリアの雰囲気より少しリストランテ寄りなのだけど、こちらの方がむしろトラットリア、そしてバンコ(カウンター)があったりオープンキッチンだったりする辺りが少々バール寄りと言えるかもしれない。開け放たされた空気と雑多なノイズに、ローマ辺りの忙しい街中トラットリアを想像させられてワクワクしてきてしまう。

食前酒に軽くプロセッコを飲みつつ、バンコからのんびり店内や外を見回す。眩しい外の光、明るい空の下で飲む酒ってのは何よりも旨いのは何故だろう(笑)。ちょうど目の前が一部桜並木で、元々プレチェも花見客が予約を取る事もあるそうだけど、今後の桜の季節はこちらも素晴らしい花見席になりそうだ。

とりあえず今日はランチということでプリフィクスの前菜+ピッツァ選択のセット×2を。前菜の品質はまったくプレチェと同じ、そして肝心のピッツァはプレチェには無かった新メニューばかりで嬉しい限り。もちろん焼き具合も味わいもあのクラスである。余りに巧かったので、ピッツァのみ一枚追加して3枚のピッツァを二人で平らげ幸福なランチと相成った:)

……何故肝心のピッツァの写真がないのか。そりゃもちろん写真なぞ取る暇があったら熱いうちに食わんかい、ということで。せっかく窯から遮るモノ無き3m、ってな席なのだからね。ちなみに選んだのはモッツァレラと何かチーズと何か燻製肉のピッツァ「ピアチェーレ」と、フレッシュな春野菜がうまうまの「モンテなんちゃら」と、固めてないソーセージのような粗挽き肉を散らした「なんちゃら」。……我ながら名前とか中身を覚え無さすぎだが、まぁそれはもういつものことなのでご容赦を。

ちなみに5人以上なら予約も一応可能だとか。ちょろっと押しかけてピッツァ祭りなんてのも楽しいかもしれない。横浜に貴重なランチプレイス誕生である。大歓迎。

今日の一滴="−−−−" (2007/04/30)


 
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