VERBA VOLANT, SCRIPTA MANENT.

如星的茶葉暮らし

■ 05月下旬 ■

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酒の一滴は血の一滴。茶の一滴は心の一滴。ネタの一滴は人生の発露。


 

【2007-05-21-月】

香りの分解

仕事着の夏用ワイシャツを仕入れがてら久々にみなとみらいを歩いていると、不意に漂ってくるスパイスめいた木の香り。こういう時は大抵、いわゆるナチュラルなんちゃら系のショップがフレグランスやらインセンスを焚いており、その手の合成臭い香りはあまり好きではないのでスルーしてしまうのだが(例えばあのマリンノートの香とか)、今回はその深いスパイスの微妙な香りに惹かれてふらふらっと香りの源を探してみた。

見つけたのは「Aroma Bloom」。置いてあるエッセンシャルオイル等はあちこちで売ってるのを見かけてた覚えがあるけど、こうして大きく固まって扱ってる専門店があったとは知らなかった。そもそもブランド名も知らなかったし。……ともあれ、店頭でミストで焚かれてた香りは結構良い。聞いてみたところ「ボディメイク」と銘打たれた自社ブレンドのようで、グレープフルーツ、ローズマリー、ジュニパー、レモン、パチュリだとか。ああ、確かにこの木の香りはパチュリだし、スパイスっぽさはジュニパーから来てたのかー、と納得。普段家で焚くのはSMNのサンダーロだったりヴィロレッツィの胡椒だったりと甘め深めのオリエンタル香なのだけど、こういうモダン系の中にも木やスパイスの燻し系の香りが入ってるのが妙に気に入り、試しに一つ買ってみることにした。

それはさておき、ちょっと我ながら驚いたのは「混合香の分解」ができたこと。元々鼻は悪くなく、茶を飲み始めて以来だいぶ効くようになってきたなーとは思っていたけど、音や味のように要素分解なんて真似をしたことはほとんど無かったし(あ、一応食い物の匂いはある程度分解してるか……でもあれは分かりやすいしなぁ)、今だって普通の市販の香水に対してそんなことはできないだろう。ただ、今回のこれのように「せいぜい数種のエッセンシャルオイル」であれば、そしてパチュリの香りはオリエンタルなウッディ香として如星の嗅ぎなれたモノだったので、そこを足がかりに紐解けたのだろう。今回買ったオイル以外もいくつか嗅いでみたところ、やはりヴェチバーを基調にしたものは、最近たまたまSMNのバスオイルでヴェチバー=ベティヴェールの香りに馴染んでいたので、それを足がかりに他の香りを分解できたし。全体の中で支配的な香りを一つ認識して差っ引くことができれば、残りの香りにも「鼻が向く」んだなーと感じた次第。

ちなみに今のところパチュリやジュニパー、ヴェチバーの他、ゼラニウムやイランイラン辺りは分かるみたい。後はいわゆるハーブ系のローズマリーやラベンダー辺りは一応お手の物ということで。ベルガモットも茶飲みとしちゃアールグレイな訳だからすぐ分かるしね:)

今日の一滴="−−−−" (2007/05/21)

【2007-05-23-水】

今宵はマールにフロマージュ

この日は気だるい飲み会を終えて帰宅途中、たまたまぶどうさんとメールセッションが張られ数回のネゴシーエションの後に横浜でのハンドシェイクが決定、久々にLe Jazz@横浜にて一杯引っ掛けて帰ることにした。いやー、気心しれた相手と極上の酒、ヌルい飲み会の酒と脳のカビを洗い流すには最高の組み合わせである:)

蒸し暑いこの日、スターターにはベルモットをソーダで割りジンジャーを効かせた……なんとかというカクテル(相変わらず)でスタート。偶然入っていた生牡蠣を若干楽しんだり牛ホホの煮込みで腹を満たしたりしつつ、本番はもちろんフロマージュを並べての酒タイムだ。

今回合わせたのはラタフィア・ド・ブルゴーニュというちょっと変わった酒で、葡萄ジュースにマールを加えた「リキュール」なのだとか。デザートワインのようなマールのような、経験した事のない不思議な香りである。チーズの側は軽めのシェーブル、青カビ2種(片方はロックフォール)、そしてエポワスだったのだが、甘い飲み口が塩気強めのロックフォールや味わいの濃いエポワスと合うこと合うこと。それにチーズの質も相変わらず極上……。もう如星の中では「旨いロックフォールを食いたきゃここに来い」という定式が成立しているぐらいだ。

さて、一頻り満足した辺りで時計をチラ見、そして明日が代休なことを改めて思い出し、店に入ったときから正面で気になっていた酒を最後に飲んでいくことにした。それが上の写真の右側、オスピス・ド・ボーヌのマールである。かなり前にも一度だけ飲んだことがあるんだけど……もうね、これが「理想のマール」といって良いぐらいの出来なのだ。少しずつ開いてくる香り、樽香に偏り過ぎないぶどうの甘さと渋み。ああ、グラッパとマールは同種の酒と言われるけど、先日素晴らしいグラッパを堪能したばかりなだけに、この両者が目指す点はキチンと異なる領域なんだな、と実感できる。この香り開きの変化を楽しむという意味でも、マスターの言うとおり最初から温めたりせずに、手の中でゆっくり転がしていくのが極上だろう:)

ちなみに写真の隣の酒はぶどうさんが頼んだモノで、これもまた旨い酒。実に27年を閲したサンデマンのポートで、一口試させてもらったけど、未だフルーティーな甘みがしっかり楽しめる逸品でありました。はー、幸せ幸せ。

今日の一滴="マール:オスピス・ド・ボーヌ 1992" (2007/05/23)

【2007-05-26-土】

今期のアニメやプロジェクタの話など

本日は如星の洗脳布教会と称し、自室にプロジェクタ&廃人級音響を備えた友人宅へと遊ぶ。実はこういうことをするのは久しぶりだなー。何気に自分の周りからこの手のオタクがほとんどいなくなってしまっていることもあり。特に物書きの時など、作品の話などがあまりできないのは結構悲しい。

ちなみにプロジェクタですが。ああ、量の拡大は質の評価を高めるな、という印象は受けた。流された映像の中にふぃぎゅ@謝肉祭デモがあったのはどうなのよという風情だが、見慣れていたアレ故に普段と比較が可能で、細部の神が見て取れることに驚いた。いや単にでかいから目に入るというだけでなく、ディスプレイサイズで全体を視界に収めている時と違い、スクリーンの場合は視線を常に動かしながら見るおかげで、俯瞰視野では全体に埋没しがちな動きが記憶に留まるのだ。これは面白い現象だな、と。

しかし映像コンテンツの消費量が格段に少ない如星にはやはり豚真珠でございましょう。何「萌えは面積の二乗に比例する」という名言なども生まれ、確かにグラッと来た面もあるのだが、いやいや。よりアトラクティブかつアフォーダブルなソリウションのプロポーザル(何)を期待してお待ち申し上げる次第です、皆様:)

さておき、その折にアニメなども上映されたので少し感想など。

Darker Than Black

いやこれは実は今期唯一継続して視聴してるのだが。まぁBlack Lagoonを一応最後まで見たとゆー如星が選ぶとすれば、という線で考えると分かりやすい。

正直、物語のクオリティに関しては今ひとつかなという気がしなくも無い。特にのっけから説明台詞が多すぎる辺りが引っかかる。あの警部のおねーさんに至っては、説明台詞以外の台詞がほとんど無いと言う始末。もう少し作品全体から匂わせるぐらいでもいいと思うんだが……。契約者関連はキチンと匂わせメソッドを使ってるのに、ヘルズゲートの壁なんかは開始10分で長々と喋っちゃうのはちと興醒めである。

しかし、今までの作品に較べて格段に近接戦闘の描き方が巧い。銃撃戦は見応えのあったBlack Lagoon(趣味悪い旦那の二丁拳銃超サイコー)ですら、銀さんの動きは完璧に漫画に負けていた。久々にCowboy Bebopに匹敵する動きが見られたかなってトコだ。あと主人公の黒がキチンと相手の指を圧し折って拷問できる男だという辺りに惚れた。いいねぇ、実は優しい系の似非正義な主役にゃアタシゃもううんざりだよ:)

sola(1〜2話)

久弥と聞いた時点で予想してた通りなんだけど、やっぱり俺はこれダメだなー。

絵の雰囲気もいいし街の空気も描けてる。だが、やはり「電波 meets 電波」でご都合展開を視聴者に押し付けるやり口は好きになれないのだ。語弊がある表現だけど、俺は決して電波ちゃんが受け入れられないのではなく、せめて電波ちゃんに出会った主人公には常識人としての対応からスタートして、視聴者と一緒に少しずつ電波に染まり……もとい物語に絡んでいって欲しいのだ。「あたし人間じゃないの」「OK愛してる」にはついていけませんヨ、ということ。キャラクターの行動心理、動機付けが弱いとどうしてもそういう印象を受けてしまうんだよなぁ。

この話をしてて思い出したのは、マブラヴオルタ、じゃなくてエクストラの冒頭シーンだった。BETA世界に放り込まれた白銀は「夢に違いない」の常識的判断からとことん(夢だと思ってる)常識人として行動し、その結果否応なしに物語にはまり込んでいく構図にリアリティというか巧さを感じたのよねー。異常性、電波性がそこにあることと、受け手の感情移入が妨げられるかどうかの間には、相関こそあれ必至ではないということだ。

どうでもいいけど「銀髪アルビノ赤目サイレント少女」って流行りなのか。

今日の一滴="−−−−" (2007/05/26)


 
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