VERBA VOLANT, SCRIPTA MANENT.

如星的茶葉暮らし

■ 08月中旬 ■

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酒の一滴は血の一滴。茶の一滴は心の一滴。ネタの一滴は人生の発露。


 

【2008-08-11-月】

夏コミ情報:神慮の機械・ひまわりサイド

お待たせいたしました、前回のお知らせに続き、当「神慮の機械」での発行物のご案内です。

今宵、地球を杯にして

ぶらんくのーと「ひまわり」二次創作小説、「今宵、地球アクアハイにして」、コピー本にて発行予定です。現在絵師様とも最終調整中、中身の方もほぼ書き上がっており、確実にお届け可能かと思われます。右イラストはあくまで現段階のサンプルと言うことで。まだまだ数少ない「ひまわり」同人誌ではないかと思います。

主題小説「今宵、地球を杯にして」──副題「真夜中の時間」と銘打ち、あの8月23日0時前後の登場人物の心の動きを描き出します。アクア、アリエス、──、そして宗一郎や名も無きSA-DAN080機長に到る群像劇。はっきりゆーて暗いお話ですが、おまけ的要素としてチキン・ダイバーズばりの熱いモードも一つ用意してありますので、「ひまわり」をお好きな方はもちろん、ちょっとしたSF・ミリタリー好きな方にもお楽しみいただけるかと思います。また軽いひまわりレビューページを掲載予定です。乞うご期待。

そして大変申し訳ないのですが、狼本の方はどうも間に合いそうにありません……。前回お伝えしたアージュ様掲載作業で予想外に時間を取られたため、2種類本を書き上げ、製本している時間が無くなってしまいまして……前冬コミでも発行を予定していた物だけに心苦しいのですが、今は如星の愛が全てアクアに向かっているものとご理解いただければ幸いです(全然理解求めてませんね!)

それでは、夏コミ3日目・17日(日)、東X-36a「神慮の機械」にてお待ち申し上げております。

(2008/08/11)

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【2008-08-17-日】

夏コミお疲れ様でした!

会場ポスター

1・2日目の灼熱、3日目の高湿の中、夏コミに参加された皆様、お疲れ様でした。また当「神慮の機械」にお越しいただいた皆様、本当にありがとうございました。おかげさまを持ちまして、ひまわり「今宵、地球を杯にして」は完売を頂戴いたしました。お求めいただけなかった方には大変申し訳ありませんが、別短編等を追加したオフセ発行を検討中ですので、しばし今後の情報をお待ちくださいませ。

また聞いたところによると、アージュブースは2時間行列の阿鼻叫喚図だったそうで……。拙作「チキン・ダイバーズ」が掲載されていましたので、「よろしければ行ってみてくださいね☆」などとスペースでもかなり気軽に案内してしまっていたのですが、夏のBETA戦の恐ろしさを舐めていた発言でしかありませんでしたね(汗)。今回の設定本はFC通販でも販売されるようなので、そちらをご利用になるのも手かと思います。そういえば如星はアユマユ特典期以降更新してないんでFC会員権切れてるんですけどね!

なお今回は体力の限界にかなり来ており、いつもなら買い物に挨拶回りに飛び回っている如星にしては珍しく長く自スペースにおりました。逆にそのおかげで、当方にいらしてくださる皆様にいつもより多くお会いできたのは嬉しい限りです。本来これが当たり前のことなんですけどね……どうしてもコミケでしか会えない方々がおり、かつ自身同人誌買い漁るの大好きなモノで、なかなか席を暖めていられないのが辛いところ。体力と言う絶対的リミットも時には役立つと言うことですね!(ぇー)

さて、これで定期更新に戻していけるといいなー。

ひまわり本エラッタ

今回の新刊ひまわり本「今宵、地球を杯にして」をお買い上げの皆様:

大変申し訳ありませんが、本書最終ページに巨大な設定ミスがあることが判明いたしました。ぼーっとした頭で何気なく書いてしまったといいますか……。全体のストーリーには影響ありませんし、その該当一文を削除してお読みいただければ問題ないのですが、その文章が何かをエラッタで提示すること自体がネタバレになってしまうため、あえてこちらでは具体的な箇所の特定を控えさせていただきます。最終ページ(奥付上の最終エピローグ)で一箇所「あれ、これ変じゃねえ?」と感じられましたら、一応それは当方認識済みということでご理解くださいませ。先にも申しましたオフセ再録化の際には必ず修正いたします。

それにしても、当日結構「いや、ひまわりは知らないんですが」という方も買っていかれたのが印象的でした。本当にありがたいことですし、かつそれらの方々が本書を切っ掛けに、本家「ひまわり」をプレイしていただければ、原作に捧げた本書にとっては最高の喜びです。気軽なお値段、さくっとしたプレイ時間、それでいて深みのあるシナリオ、アクアかわいいです(挨拶)、是非是非お試しください。

(2008/08/17)

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【2008-08-19-火】

戦い済んで:インプットフェイズの必要性

平野耕太曰く、オタクの創作者はとにかく燃費が悪い、と。大量のインプットを投入し、カクテルし、燃焼することで表現を噴き出しているのだと。別にオタクに限らず、ハイインプット・ハイアウトプットというのは創作の一つのスタイルだ。驚異的な読書量と執筆速度を誇る京極夏彦、とかね。

かくいう如星はと言うと、創作者としては実に効率の悪いコピーキャット。「自分がグッとくる何か」のエッセンスを繋ぎ合わせることでどうにか表現を成立させているわけで、やっぱり大量のインプットは必須要件なのだ。

……ところが、昨年末から今年前半に掛けて、転居と結婚、それに引き続く生活環境の整備と時間を取られ、読書量は激減するわ碌に映画の一つも見られないわ(最後に見た映画って去年夏の新ヱヴァじゃないか……?)、それが一段落したらもう夏コミ原稿シーズンとなり、半年のインプット・ブランクに引き続いて手持ちのネタだけでひたすら吐き出し続ける期間が続いたのだ。それなりにストックのある物書き面はともかく、特にまだまだ未熟でティア本や商業映画等のストックを消費するデザインワークも今回は高圧力での出力が続き、如星の表現バッファはもはや真空状態である。にぼし、すっかり出し殻に。らめえ。

ちなみにそんな中、乾いた砂漠に慈雨のごとく広がり飛びついたのが「ひまわり」だったりもする。それは見事にレビュー連打や突発本として結実したわけで、まさに後方噴射に追加投入された燃料、アフターバーナーである。そりゃあ勢いよく飛びますよ、ええ。

さてさて、よーやく夏コミが終わり、原稿関連もひと段落。実はあと一件締切が近いモノがあるけれど……こと自分の領域については、この一ヶ月ほどの高圧力は掛からなさそうだし。どうせすぐに始まる冬コミ原稿シーズン、今のうちに全力でインプットを溜め込まないと流石にマズい。

とりあえず、通勤中という貴重な読書時間に疲れて寝てしまうという事態もしばらくは無さそうだし、まずは読書量を回復すること。それから今夏色んな人と話して感じたのだが、いくつかアニメ作品をキチンと見る必要性からもそろそろ逃げられなくなってきた。あとは会社帰りに映画を見る時間を継続的に作ること──この辺りから着手するとしますか。

(2008/08/19)

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【2008-08-20-水】

アクア本顛末

既に何件かお問い合わせいただいているのですが、先日夏コミにて発行しました「ひまわり」アクア本「今宵、地球を杯にして」、こちらは全て完売しております。コピー本ですし制作できないことも無いのですが、一冊単位での作成、通販等の手間を考えますと現状追加発行は困難です。

このようなコピー本は「出会い物」な面もありますし、先日もお伝えしたように加筆オフセ化等公開の道もいくつか考えております。続報をお待ちいただければ幸いです。

なお、夏コミ時のペーパーに載せた嘘予告を載せておきます。本家の例の嘘予告のノリでどうぞ:)

予告
ひまわり ‐alternative episode‐


「部長──貴方の理論は、間違ってはいなかった。宇宙人は──」

2052年、西園寺火星有人調査隊アリアから最後の通信はかく途絶えた。 これこそが、人類初の異星起源生命体との遭遇であり──

「軌道戦力が全てだ。着陸されたら勝ち目は無い」

後にBETAと呼称される異星起源生命体との、 長きに渡る生存戦争の幕開けであった──

「あの娘達を戦場に送り出して、 俺達はぬくぬくと大気圏の底で暮らしている。これが許せるのか?」

月を資源として磨り潰し、デザイナーズソルジャーを宇宙に送り、 必死の抵抗を続ける西園寺宇宙軍、そして人類。だが……

「この先に勝利があると、本当に思ってるのか、明」

英雄は再び、月を目指す。

「遺伝子に寄らない生命体は私たちにとっても脅威です。 私たちと人類は──協力できる」

ルナウイルスは人類の福音か、あるいは悪魔か───


2008年冬、軌道戦術機SA-22“COSMOS”、出撃!

夏コミペーパーより

(2008/08/20)

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【2008-08-21-木】

ささやかな旨味を仄灯りの下で

昨晩は青山ティーファクトリーにて枯渇していた茶葉を補給すると、ぶどう氏や相方と共に久々のNid Cafe@青山へ。夏コミ後、原稿前から数えて2ヶ月ぶりに、心から寛ぎながら旨い酒とメシを楽しんだ。

かつてのカフェブームの頃に雨後の筍の如く「カフェ系」の店が生まれ、そして36mm弾の前の戦車級の如くバタバタと倒れていったが、そんな流行廃りは何処吹く風と、安定した心地よさを提供し続けてくれている貴重なカフェ、というよりはビストロがこのNid Cafeだ。そもそもビストロって、河岸を変えずに色んな要素を面倒なく一箇所でつまみ食いするには丁度いい存在なのだ。

クスクスやら田舎風パテやら鴨のコンフィやらのビストロメシを突付き、シェリーを香り高くトニックで割って軽く流し、食後にはキチンと単なるケーキを越えたデザートを食い、カフェやらハーブティーやらまで楽しんで締められる。店を満たす適度なざわめきは、雑談に高じることも、寛いで酒を傾けることも同時に可能だ。原稿後の干からびた同人屋同士が旨い物と思考の本調子を取り戻すには、これほど適した店はないのである:)

この手の店で、幅広いネタを語り合える相手ってのもだいぶ少なくなった──学生時代に較べると寂しい限り。数少ないそんな相手のぶどう氏と今年後半の執筆ネタを語りつつ、ひと時の開放は更にその先を求める贅沢な思考を呼び覚ます。今年の夏コミ前後では実に面白い人物に出会えたけど、悲しいかなその人たちは近場の民ではなく。同じかそれ以上のレベルの、だが異なる目線で論を交わせる相手に、これほど自分が餓えているとはこの数日まで気づかなんだ。動き出した舌の根は、未だ収まる時を求めて彷徨い踊る──ささやかな旨味を、仄灯りの下で味わいながら。

オルタファンに捧げるSFガイド:クラーク編

マブラヴ・オルタネイティヴと言えば、様々なオタク作品のみならず、古典SFの元ネタを多々持つ作品である。が、やはりプレイヤー層の若い世代はそもそもSF自体をほとんど読んでいなかったりして、その辺のネタに気づいているプレイヤーは思いの外少ないようだ。

……というような話が先日夏コミ真っ只中、ひまわり経由Twitterルートで知り合ったhasidreamさんやa-parkさんとオルタ話や物語論で盛大に盛り上がった際に出ていたのを思い出した。如星自身それほど激しいSF読みではないけれど、ここは一つ必ずしも元ネタに限らずオルタを楽しむ上で読んでおいて損の無いSFってのをいくつか紹介してみようと思う。

まずは、御大御三家クラーク編から。

アーサー・C・クラーク「遥かなる地球の歌」

やはり、最初にこれを挙げない訳には行くまい──アンリミの最終話タイトルにもなっている、クラークの代表作である。BETAではなく太陽の爆発によって地球を放棄せざるを得なかった人類、その播種先の一つである海洋惑星サラッサを舞台に、一種のラブロマンスを描いた作品だ。播種船から人工的に立ち上げられた文化をもつサラッサ人と、新技術により滅亡直後の地球から直接飛来した移民団との文化の差異や、地球という文化の源泉を失った絶対的な悲しみ、そしてSF的な異世界というギミック。これらが渾然一体となって一つの作品で語られるのだからたまらない。「文化」に対するクラークの愛がひしひしと感じられる名著。

ただ、そのエッセンスは本作の元となった同題の短編でも十分味わえる。後述の短編も含む短編集「天の向こう側」に収録されているので、読み比べてみるのも一興。

アーサー・C・クラーク「諸行無常」

前述の「天の向こう側」に収録された、10p足らずの短編である。だが、オルタ、いやアンリミファンには是非この作品を勧めたい。アンリミには「渚にて」という、これまたSFタイトルの名を借りた章名があるが、個人的にはそのタイトルに相応しい物悲しさを湛えているのはこの作品だと思う。原始人類、現代人類、そして地球を放棄して行く最後の世代、それぞれの世代の幼子が渚で水と戯れる──ただ、それだけの作品である。ただそれだけなのに、最後に込み上げてくるこの痺れるような哀しさは何なのか。諸行無常──アンリミエンドのあのワンカットが好きな貴方に、是非。「天の向こう側」には前述の「遥かなる地球の歌・短編版」も入ってるしね。

全体的にクラークの作品はとても楽観主義的というか、人類は困難を解決できる、という前向きな作品が多く、その辺りもオルタファン向けな理由の一つだ。もちろん、それが決して安直な無邪気さでないのが彼の凄みだ。またSFというエッセンスは色濃く使ってるけど、どの作品もそれ以前にプロットのみで物語として強く成立しているお話なので、非SFファンにも勧めやすいのがクラークの良いところ。例えば特にオルタというわけではないけど、代表作「楽園の泉」は軌道エレベータにセイロンに仏教観にファーストコンタクトと萌え要素てんこ盛りにした上で、3本ぐらいのストーリーラインを同時に展開してみせる逸品である。是非ご一読を。マストバイです。

あと最近氏が亡くなられた事でよく作品名が口の端に昇るのだけど、クラークファンとしてこれだけは絶対言っておきたい。「幼年期の終わり」は、クラーク作品の中では異質に類するもの。「幼年期だけは読んだことが〜」という方が結構いるのだけど、是非是非他の作品も読んでください……。かの2001年シリーズとか、2001年の描写自体は流石に古びて感じられるものの、2010年以降はその気配すらなくお勧めっすよ。3001年はちょっと蛇足感ありますが。

なお次回はホーガンを予定しております:) その後はあちこちからちょいちょいと拾い食いを。

(2008/08/21)

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