VERBA VOLANT, SCRIPTA MANENT.

如星的茶葉暮らし

■ 11月中旬 ■

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酒の一滴は血の一滴。茶の一滴は心の一滴。ネタの一滴は人生の発露。


 

【2007-11-12-月】

Le Jazz:フロマージュ・マリアージュ

月曜日だというのに、たまたま互いの時間が合ったのでぶどうさんLe Jazz@横浜で飲む。実はバー自体しばらくご無沙汰だったので、ジャズには行きたくて行きたくて仕方なかったのだ:) 突発に付き合ってくれたぶどう氏には感謝を。

それにしても、相変わらずフロマージュの旨い店である。酒のセレクション、カクテルの腕前でも冠絶してるのに、この旬のチーズの揃えっぷりと選択眼は驚くほど。正直、都内のそれなりにお高いフレンチ・イタリアン等を含め、この店以上にチーズの旨い店に出会ったことが無い。チーズってのは本当にナマモノで、旬に加えて状態もあり、しかも良い状態は長持ちせず、それでいてクセの強いものは一般受けしなかったりと、飲食店にとっては難しいこと極まりない食材だとは思う。故に、逆にバーという形態だからこそ、少量のいい物を、本当に好きモノの客を相手にできるという面はあるかもしれない。だからと言って、そもそもワインではなくキチンとハードな蒸留酒にチーズをマリアージュさせられる力量、マリアージュさせられるチーズを仕入れてくる選択眼がルジャズのマスターならではの稀有なモノであることに変わりはないのだ。

この日はあまりに寒かったので一杯目はホットドランブイでスタート。ホールスパイスのクローブと若干のアイラを使った、配慮の行き届いた一杯で温まった後は、樽のフレッシュな木の香りとバニラ香が楽しめるモルトを水で割ってスタート、次にもう少し重めではあるが同じ流れを持つストラスアイラの12年をほぼストレートで(手元で1/2spoonほど加水)、そして最後はソーテルヌの貴腐ワインを。このモルトからの流れは、全て写真にあるチーズとの合わせで考え出されたものだ。コンテにシェーブル、マールの樽に詰めてマール醸造後の絞りかすを塗したチーズ、そして最後にデザートっぽく貴腐に合わせたのは極上のロックフォールだ。先程「チーズはクセが強い」と書いたけど、ここのマスターが選んでくるチーズに限っては、決して「臭い」といった感じは受けないと思う。ウォッシュ系であってすら芳醇なミルクの香りを漂わせ、決して「臭く」はない極旨のチーズたち。フロマージュ好きなら、是非横浜まで遠征してでも一度来て欲しい店だ。

ギャルゲシナリオ雑感:メディア特性とか

結局のところ、いわゆるギャルゲフォーマットで描かれる物語に俺が高い評価を与える時って、そこにまさにこのフォーマットならではの描き方を感じたときなのかもしれない。小説等とは違う、読み手が同一の時間軸をループして複数のシナリオを体験するというフォーマットを生かし、マルチシナリオの各シナリオ間をまたいだ伏線や絡ませ方、表現方法を駆使した作品はやっぱり面白いのだ。端的に言えば、複数シナリオを貫く一つの大きな物語性があるか、ということ。

これを実現しているゲームを例示するならば、ほら、月姫君望Fateシンフォニックレインとなる。いずれも多シナリオである点を生かして「一つの真実に対する複数の伏線(e.g.SRの「雨」)」を織り込んでみたり、あるいは「あるシナリオが別のシナリオの深みを増す(e.g.君望の水月シナリオにおける遙の真実)」作用を持っていたりする。ああ、そう言えばマブラヴ本編はこの点についちゃ駄作だが、後のオルタによる「平和な本編を見事に伏線に使ってみせる」やり方は巧いとしか言いようが無い。一方でTH2がゲーム全体としてイマイチなのは、結局シナリオをまたがった物語がほとんど存在しない点なんだよなぁ。やっぱり、一人のシナリオライターがガッツリと全体を握ってないと、こういう多面体構造的な物語は作れないんだろうな。

結論:誰か最近出たゲームでこの手のシナリオ間チェインが実現されている作品をリコメンドしてください:) やっぱりまだまだ引退したくない、この世界。

今日の一滴="酒:ホットドランブイ" (2007/11/12)

【2007-11-19-月】

無駄とも思える努力の積み重ねが美しいトロを作るのよ

「トロステ」にミク登場の話は大変笑わせてもらった。こう見えて(?)どこいつ時代からのトロスキーである如星、トロステ自体のフリーダムな噂は耳にしていたし、たまに公開される動画も眺めてはいたのだけど、いやもー初音ミクに留まらずクロの展開するさり気無いオタクスピーク(テメーはオレっちを怒らせたみャ!)、そこに昔と変わらぬピュアな雰囲気を残したままツッコミ役になるトロなど、もー下手な漫談より圧倒的に面白いですよ。

初代以降のどこいつ作品は全然追ってなかったけど、これは一瞬クラッと来た。しかしまー他にPS3を求める動機がないので(AC6目的で箱○買っちゃったしね……)、せめてトロステだけでもPCで配信されないかなー、とか夢想してしまったのだが……。

というわけで、まいにちいっしょのトロの質感は、CELL の SPU を4個も使って実現されている、次世代機ならではモノだという話しでした。

Take it easy!: トロの質感への挑戦

何ィィィィッッッッッ!!!! な、並みのPCでは無理と言うことか……!

しかし何という素敵で無駄な労力(べた褒め)。一見してゴリゴリ美しくレンダリングしてると分かるよーな所ではなく、高度な質感が別にゲーム性に大きく影響するわけでもないところに力を注ぐってのは粋だねぇ。ま、左写真にある先のミク登場回のクロの台詞が思わず浮かんできたのはご愛嬌:)

あと余談ではあるけど、上のトロステ製作者が「当初ウチの社内で作成していたのですが、なかなか奇麗に歌わせることができなかったので職人さんに依頼」と書いているように、ミクに巧く歌わせるって本当に技巧を要する話なんだなぁと最近分かってきた。ミクの歌声が拙く聞こえるケースの多くは(歌わせやすい)歌曲の選択問題=ミクの性能問題だと思ってたけど、やっぱり作り手の性能の方が重要だったってことか。

今日の一滴="−−−−" (2007/11/19)


 
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