MACHINA EX DEO
如星的茶葉暮らし

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酒の一滴は血の一滴。茶の一杯は心の器。ネタの一つは人生そのもの。

【2004-02-20-金】

【如星式抗萎メソドロジ】

萎える仕事、倦んだ日々(必ずしも「忙しい」と同義ではないが、同時発生することも多い)があまりに続き、如星脳内会議に対し思い切ったリフレッシュ策の必要性を提案する。過去の事例に鑑み、今必要なのは「落ち着ける時間」と「高クオリティのサービス」と判断。これを満たせる場所は一つしかない──ホテルである。

元々ホテルサービス好きの如星、しかしここしばらくはクオリティの高い(必ずしも価格、グレードとは一致せず)場所に泊まっていなかったので、これをいい機会と思い、自分へのリフレッシュ休暇というコトで支出を可決。特に今回求めているのが「落ち着き」である点を考え、派手ではないが気の利いているホテルといえば、これはもう御大・山の上ホテル以外にはありえない:)

そうと決まったのが前日夜、となればサクサク予約である。こういう時は素早く空き室のタイプまで確認できて、細かい要望もやり取りできる電話の方がネットより楽だ。泊まるまで余裕があるならとりあえずネットで部屋押さえて、というのもありだけどね。……部屋を押さえたらチャキチャキと必要な着替えを紙袋に詰め、翌朝出勤途中でロッカーにそいつを放り込んで出撃、っと。紙袋なら、翌朝そのまま不要荷物詰めて送り返し、土曜日を身軽に有意義に過ごせるからね:)

色々手を回して会社を早々に離脱、チェックイン。今回取った部屋は純和風だけどベッドという一風変わった名物部屋。通常洋室の空きがまったくなかったのでこの部屋にしたのだけど、結果としては思いのほか寛げてしまい上々である。思わずルームサービスで「名物」天丼など頼んでママーリ。チェックイン後一時間にして、既に心も財布も開放的になっている如星でありました。……でも、こうやってリフレッシュに金を使うのは軍事力と同じで、半端に惜しんだり、逐次投入をしてはイケナイのである。投資とも似ているかな、若干の追加投資をケチることで、既に投入した金の価値を減じてしまうのは馬鹿らしい。

というわけで、神田という立地を利用して某被服方面に遊び出て、ゆるりと帰ってひとっ風呂浴びてから下のバーに寝酒を呷りに降りていく。隣に座った見知らぬ人との話の流れで、つい思ってたより飲み過ごしてしまっても、エレベーターを上がれば寝られるのはスラバシイ。朝目覚めたらとりあえずリフレッシュにジュースを持ってきてもらい、風呂に入り直してから朝食。ざわつくラウンジでコンチネンタルというのも悪くないけど、折角なので日本食へ。ご飯に味噌汁、焼き魚にメシのおかず数品、ふろふき大根。それだけのモノがこれだけ旨く思える、その幸せ。のんびりチェックアウトをしつつ、まるで古い洋館のようなロビーでコーヒーを飲んで寛いで。──ホテルはお手軽な非日常。日常から切り離された感覚を味わうのに、必ずしも「旅行」とセットで使う必要は必要はないのだ。その事実を久しぶりに実感し、そして、心身ともにリフレッシュ完了( ̄ー ̄)

ちなみに部屋が埋まっていたのは受験シーズンだからだとか。しかし受験で山の上って、場所柄便利なだけなのか、親がよっぽどこの手のホテルが好きなのか、それとも「文化人のホテル」という異名にあやかりたいのか──いずれにしても、山の上の受験生向け弁当もって出撃なんて羨ましい限りだのぅ:)

今日の一滴="酒:寝酒ラム。" (2004/02/20)

【2004-02-23-月】

【     】

仕事行って帰宅して風呂入ってメシ食って酒呷って寝るだけ。

そんな蔑んでいた日々のパターンにはまっている自分自身に気づき、そのこと自体に苛立ちを感じたり。ああ、とことん俺は人生にマージンが必要で、とことん仕事を生き甲斐にできない人種らしい。……てゆーか日記書く余裕ぐらい持たせてくださいな。

……いや、死ぬほど仕事をしていると言うわけ程では全然ないのだが、ただ精神的余裕を無くす、性格上向かないコトを強いられてるだけなのは確かなのだ──この忙しさは他人の尻拭いだし、そも「努力」という資質が欠落した如星にとっては、8-90%の出力は「オーバーヒート」と呼んでよい領域なのです。

このダメージは「モノを書けない」という精神ダメージに直結しています。いやこうして生存証明的な駄文を書いたり、帰宅して一杯寝酒を飲むぐらいな時間はありますが、如星の日記/文章は「余裕」から生まれてくるので、書くというコトは精神衛生上重要でありながら、実行プライオリティを上げるわけには行かない複雑なシロモノなのでありますよ。

……いかんな。

今日の一滴="酒:ジャスティノス・マディラ" (2004/02/23)

【2004-02-24-火】

【フィーリング・ダンプ】

恒例の(では全然ない)日記書けない週間代替案、没ネタというよりは日の目を見れなかったネタ集の開陳、「思いの丈ダンプアウト」行きまーす。今回は没ネタではないので、今後の本日記でサルベージされる可能性もあるとゆーことで。

……以下帰りの電車30分弱でダンプアウト完了。うーん、やっぱり起承転結を考えないで書くと、あっさりサクサクと書けてしまうモンだのぅ……。ま、それじゃ面白くないからね:)

  • 通勤時の読書タイムも眠くてままならない中、それでも12月以来アマゾネって来た大量のキューリストをようやく処理半ば越え。一部には頼みすぎというツッコミも。そして「電車内」が読書タイムであるので、簡単に読み終わるはずの漫画の方がキューとしては残ってしまったり。「少年魔法士」とか「鋼の錬金術師」とか。

  • デイヴィッド・ブリン「知性化の嵐」読了間近。極厚ビッチリ6冊仕立て(除く前作)の愉悦は疲れた脳味噌には劇薬の如く。活字量は「Fate」と相まって凄まじいコトに。……願わくば入れただけの活字に見合う文字を吐き出せればなー。

  • 生き腐れるのは勝手だが、それで他人を不快にさせる権利があると思ってるのなら偉い間違いだ。そういう手合いには全力を以ってお相手するが、何か?

  • ふーむ、ネット上のアイドルコスプレイヤーって、ネットでパンツ晒して客/取巻き/アクセスを取る素人のことだったのかー。

  • 補足:転んでも普段見えないものが見えれば嬉しい。平素見えるものには何も感じない。

  • 人より速く仕事をこなす能力があっても、人より努力する能力に欠けていれば、結局は人材としては不適格存在である。戦時であれば有能な指揮官になれるかもしれないけどね:)(「頭の良い怠け者は司令将校にせよ」)

  • 作り物の笑顔に価値はないか? そんなこたぁない。作り笑いを浮かべるに至った相手の心情、配慮を考えれば、それが無価値だなんてコトはありえない。

  • ウチはテレビを見ません、てのが妙なステータスだった世界が存在していたけれど、今時のWebサイトオーナーは「ウチは2chを見ません」と宣言するのが一種のステータスなのか? どちらもひとくくりにして語るには危険な、つまりは宣言者がステレオタイプの虜だという言明に過ぎない気がするのだけど:p

  • 「Fate/staynight」プレイ完了。いくつかのBADはまだ拾ってないけれど。レビューは後ほど。私的評価は、単純な単一点では表せないけど、満足を超えた「衝撃」に何点もが到達しているのは確か。文句無し。なお私的白眉はセイバールート。凛ルートは一番面白いがオチが気に入らない。桜ルートは物語の根本としては面白いけれど、別のストーリーという感じ。願わくば「イリヤルート」が欲しかったのと、セイバー編と凛編を合わせたような究極解決(除く桜)ルートがあればさらに満足できたかな。……それは自分で書くしかないのか:)

  • 好奇心は才能です。一見興味のないことでも最後まで聞く根性というか。

  • 今時「男性向け萌え」ってやおい(やまなしおちなしいみなし)だろ。記号的萌え以外何もなくても作品として受け入れられちまう。一方の語源たるボイーズラヴは、今時男性向けなど足元にも及ばぬ物語性を誇っている模様だが。

  • つか、一般的な「萌え〜」の用法って、女子高生の「カワイイ」と変わらん気がする。言葉自体に意味はなく、表層だけの薄い共感を強制的に求めるというか。自分たちが同じ価値観のコミュニティに所属していると安心/強要するための呪文というか。

  • 機会あって一時期「ある方面」のBBSを良く眺めていたのだけど、俺の頭に浮かんだフレーズは「電波のショーケース」だった。とは言え、カオスを覗き込むのも、また快楽ではある。

  • GUNSLINGER GIRL(漫画)読了。世では是非が語られているようだけど、熱く否定したり熱く肯定したりするまでもない、なんか薄っぺらな印象しか残らず。つか、この手の話を「物語」にするには、一話完結形式では圧倒的に「厚み」が足りないよー。残るのは典型的萌えばかり、否定論者の語る殺伐さすら薄すぎる感じ。んーむ。

  • 「人はパンのみに生くるにあらず」。だから「パンなし」ではないと小一時間(略)

  • 論理の否定に対する絶望。ちょっと理性的・論理的に喋るだけで「何をそんなに深く考えるんだ」と否定されるのでは敵わん、という話。俺のケースじゃないけどね。

  • 自分の書いた文章に、自分が意図すらしていない個所から自分が書いたわけでもない短文にリンクを貼りまくられるって、なんか自分の文章が捻じ曲げられてるみたいで嫌だなぁ。と言うか、自分の書いた文章内に、リソースやらマグネットなんて表記を残していられる美意識は、正直理解の範疇外でもある:p

  • どんな時でも、ネタと酒と茶を忘れずに。

  • SEE YOU SPACE SURFERS...

今日の一滴="−−−−" (2004/02/24)

【2004-02-27-金】

【驚愕と、共感と、萌えと】

驚愕astonishingという愉悦は、強烈である。共感sympathiesが自己の再確認と安心から得られる満足感に過ぎぬというのであれば、驚愕は自己の地平を強引に押し広げる男根的快楽なのだ。

──つい最近まで読み耽っていた作品「Fate/staynight」「知性化の嵐」の両者を通観したとき、ふとそんなフレーズが湧いて出た。両者とも如星にとっては一級の読み応えと読後感をもたらしてくれた作品であり、本来は個々にレビューすべきところだけど、今回はちと腰が落ち着くまで置いておき。その「読み応え」と「読後感」の共通点に触れてみたいと思う。……すなわち、その驚愕に。

「Fate」は伝奇ファンタジー、「知性化」はサイエンス・フィクション、と別ジャンル名を冠してはいるけれど、ファンタジーもSFも、独自の架空世界を構築して物語を展開する、という点ではまったく同じである(元々ファンタジー小説、とは科学小説の事だった)。そしてこの両作品、恐ろしいまでに深く広大な架空世界観を、さも現実の如く緻密に築き上げている。片や総プレイ60時間重複シナリオなし、片や極厚文庫6冊という膨大な活字量を惜しげもなく注ぎ込み、実に念入りで、魅力的な──双方共に、別途2〜3作品を同一世界で支えてしまうほどの──宇宙を紙面に実現しているのである。

本来世界観は「所詮背景」であり、分厚い世界は一歩間違えれば設定厨になりかねない。だが自然で矛盾なく、しかも度を越えて緻密になってしまえば、これはもう物語部分とタメを張る魅力、破壊力となりうることを証明したような二作品であった。

さらに、それだけの世界観を持ちながら、それでも世界の描写が紙面の主役になることなく、キチンと「物語」を主軸に置いている。いずれも先の読めない展開とスピード感を維持し、まるで深海の水圧の中を超高速で引っ張られているような、物語にチギられていくような感覚を味わえる。おまけにストーリーテリングの手法も秀逸で、複数視点を、複雑かつ読み手に分かりやすく織り成して語られる物語は、個々の糸のボリュームとも相まって、まるで複数の小説を同時に叩きつけられているかのようなのだ。(視点をぐるぐる変えてみせるなんて、素人物書きには仰ぎ見るしかない御技デスヨ……∧‖∧

要するにこの二作品、世界も物語も、双方が「圧倒的な未知」で構成されており、如星の知識や感性の「地平」を強烈/強制的に押し広げてくれるのだ。……脳味噌の今まで使っていなかった部分をズビシズビシと制圧されていく愉悦、とでも表現すればいいのだろうか。これを端的に表す言葉が、如星の創作の糧でもある、「驚愕」という感情ではなかろうか。

世に「共感できる」作品は結構多い。共感できる、は大抵の場合誉め言葉として使われるし、確かに共感は例え浅いモノでも感情移入を容易にし、物語にサクサクと酔わせてくれる。その魅力は否定しない……が一方で、あまりに浅いレベルで「共感」を使いすぎている作品も多くはないだろうか。またそもそも如星にとって、共感の喜びは決して驚愕には敵わない。あるいは、如星は「浅い共感」で自己を再確認するほど、自己の定義に他者を必要としていないからかもしれない。だからこそ、むしろ「深い驚愕」によって足場の向こうへ向こうへと運んでくれる作品を愛するのかもしれない──というのは考えすぎだろうか。

ともあれ、久々に震えるほどの驚愕を提供してくれた両作品に、ここに感謝とベタ惚れ宣言を捧げよう:)

【補足雑感。根拠ナシ。】

同感/同情sympathyも深く突き詰めれば共感empathyとなり、十分に人の心を揺り動かす作品になりうる──どうも最近語られる「共感」は、前者に過ぎないのではないか、という思いが上の日記の背景にあったことは確か。「萌え」なんてのも、その浅い共感のさらに浅い形態、と言えなくもない。

一方、真の共感はやはり強い感情をもたらしてくれる。驚愕が地平を押し広げるモノなら、本当の共感はその場の魂を強烈に揺さぶるモノ、とでも言うべきか。例えば如星にとって、「君望」は文字通り共感によって、こんなサイトを作るに至る行動力を与えてくれたのだから。これも一種の「驚愕」かな。

逆にいえば、別に架空世界の物語だけが心を動かすわけではない、ということ。君望は日常世界、自分にも起こりうる世界で、あれだけのドラマが展開できる、と認識させてくれたのだからね。

今日の一滴="青茶:白葉単叢" (2004/02/27)

【2004-02-28-土】

【エンド・オブ・Rナンバー】

Rがつく月の最後を記念して、ぷく氏と恵比寿のオイスターバーに。小洒落た内装とは裏腹に(w)、非常に真面目な牡蠣を出す良店でした。生牡蠣は和洋双方十種類以上の揃えで、いろいろ摘めるのは楽しい。……ワシントン州のオイスターにカクテルソースを掛けて食うと、なんともメリケン時代を思い出す味が懐かしい:)

結局炙り等々食った後、再び生牡蠣を注文。ぬるくなったボウモアをなみなみと牡蠣の中に注ぎ、モルトごと一気に食うアレをしみじみと堪能する。生牡蠣を食うのに、あえて暖房の効いた室温程度にぬるめたアイラモルトというのは非常にあう、という点を実感したのでした。

ちなみに牡蠣のアイラがけやらシメの牡蠣スモークなどつまんで帰ろうとすると、店員にふと「お好きですね」と言われてしまう罠(苦笑)。まぁ女性組みやカプールの多そうな店では、確かに異質な客だったのかもしれない──出すモノ自体は本気な点からも考えると、店としてはこういう客は随分と嬉しかったようだけどね:)

駅前の旅行代理店カフェで、酔い覚ましに塩バターでガレットを食いつつエスプレッソをやり、腹ごなしに渋谷まで歩いて帰還。良友良食、良時間。うーん幸せ。

今日の一滴="酒:ボウモア10年" (2004/02/28)

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