MACHINA EX DEO
如星的茶葉暮らし

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The most precious element of this world is "neta". Amen.

【2003-05-22-木】

【brief report】

端的にいうと、ここ数日で確実に神経が磨り減ってきていてやばいです。これは「鬱」というより「ストレス」と呼ぶべき精神状態なのでしょうが、もう少し具体的に言えば仕事上でブチ切れ境界線付近を時折かすめながら飛行している感じですな。破裂もせず収まりもせずで消耗すると。

うちの会社は風通しの良い方だと思いますが、それでも社内政治ポリティクスというモノからは逃れられないのかと痛感する次第。いや正確に言えば当然政治のない組織なんてないのだけど、自分は極力そういうものに関わらずに生きていきたいと願っていたわけです。が、今度ばかりは社内政治的手法を振るわねば自分の精神的負荷が増える一方だ、という点が鬱陶しいワケですな。

まぁ以前までいた部署はいわゆる大御所部隊で、その政治関係ポリティクスは成熟して官僚機構システムの域に到達しており、自分の抱えている問題はプロトコルによって処理されるような、そんなところだったのです。それが今来た部署は若く、その政治関係は青々しい。「新たな組織を編成する」というプロセスの中で、新たな政治関係を構築することに喜びを見出す人々には嬉しいのかもしれませんが、そんなことに一切興味が無い人間には面倒でしょうがない(まぁこれが私が起業なんて考えたくも無い所以ですが)。私は情報技術者テクニカルエンジニアとしてこの部署に呼ばれたのであり、技術官僚テクノクラートではないのですから、問題解決には規定のプロトコルがあった方が遙かに楽ですからね。

今週のこの精神状況は、影響力──民主的政治機構の中で唯一にして最強の行使力──を駆使すれば何とか回避できそうです。ま、本道と理屈の通らない組織ではないので、その点救われているのですけども。しかし、自分がそういうモノに頼らざるを得ない、という状況はやっぱり自分を凹ますのであります。嗚呼。

Summary="滅亡時計の針は23時42分" Physical:85 (2003/05/22)

【2003-05-23-金】

【after report】

先日の話、ひと段落。

今日一日かけて自分の身体に貼り付いた余計なタスクをベリベリと剥がし、それぞれを本道に乗せ直して再発進させ、自分は自分で本道に専念するための土台を叩きなおす──前の部署でこういう事をやってなかったワケじゃありませんが、今回ほど政治的に走り回らないと解決できなかったコトは無いですよ、エエ。ま、幸いにして政治力の行使が決して苦手なわけではありませんので(嫌いなだけ)

はー、それでも一応、すっきりした。これで精神状況も回復してくれっかな。

【gone straight】

かくして「一つ片を付けて」の金曜夜。んー、気分良し。

今晩はぷく氏のお誘いで渋谷へ。軽くメシ→バーで旨い酒でも良かったのだけど、あるいは河岸を代えずにのんびりやるのも悪くない、ということで「アプレミディ・グランクリュ」で。本来渋谷という街は好きではないのだけど、仕事帰りに誰かと会うというと、場所はどうしても会社からの近さと帰宅のしやすさで渋谷になってしまう。となるとバーに逃げ込むか、あるいは席を予約できて、騒がしくなりすぎず、バーほどでは無いにしろ酒が揃い、メシが旨く、デザート・カフェに手を抜いておらず一軒で済ませられる店──なんだか「渋谷版Serie」という感じもするのだが:)──としちゃ、この辺りは定番になりつつある。

前菜やパスタをつまみにしてのんびりと。同じグラウンドを持つ相手と喋り倒すこの楽しみは何物にも変え難く、寛げるメシ屋ってのは、メシと、酒と、サーヴィスで、それを邪魔せずアシストしてくれるような場所を指すのでありましょう。意識せぬ時は存在も感じず、欲しいと願ったときにはすぐそこにある、という空気のような存在はホスピタリティの究極の形の一つ。グランクリュはまだ当然その域では無いけれど、狙っていく方向性はそんな感じで。

今宵、ホスピタリティの研鑚と一見さん文化の関連について語ることひとしきり。本当は詳しく書きたいのだけど、全ての話を追えば長くなりすぎるし、短くするには未だ自分の中で整理がついていないので、現時点ではとりあえず保留で。

Summary="ダイスを投げれば気楽なモンさ" Physical:89 (2003/05/23)

【2003-05-24-土】

【トリップ】

「カナピー」こと、祐天寺は「カーナピーナ」で久しぶりのカレー晩飯。

前回訪れてから結構間があいてしまった。にしてもカナピーヤバイ。マジヤバイ(略)。普通の店で「激辛」「当店で一番辛い」と言われてるようなカレーが、ここのセミホットに全然勝てない。ましてやホット、ベリーホットに至っては人間の領域ではないよもはや。

タンドリーチキンや各種揚げ物とドリンクでしばしのんびり過ごした後、最後に締めのカレーを。正確に言えば、このカレーの後に何かを食べるなど不可能である。今日は前回から間隔が空いていること、疲れ気味なことを考慮して「セミホット(サグなし)」で。冗談抜きに、体調を考えずに辛さを選ぶと危険なのですよこの店は(;´Д`)。ちなみに今宵のチャレンジャーは本人初の「ベリーホット」に挑んでおりました。今宵もまた、新たなるステージに進む若者が(笑)

結局、セミホットでも再び思いっきりトリップしてしまった。視界が定まらず、上半身が固定できない。焼きごての如く襲い来るスプーンに、自分が何故こんなモノを食い始めたのかと後悔し始める瞬間。……だがやがて舌の上に粘膜防壁が張られ(この後水を飲むと折角の粘膜が流れ、辛さが蘇ってしまう)、トリップが快感になってからはサクサクと。それはそれで危険な食い方な気もするけどね……。

Summary="−−−−" Physical:-- (2003/05/24)

【2003-05-26-月】

【n月病の理由その1】

嫌な季節がやってきた。すなわち梅雨であり夏、如星の敵である。

とかく如星は夏が苦手だ。夏嫌いの原因は「汗」の一点に尽きる。湿度のせいでちょっと動いただけでも汗をかき、皮膚アレルギーで肌の弱い自分はその汗で肌荒れや痒みを引き起こす。おまけに掻いてしまった後には、引っ掻き傷に汗が染みて痛むのだ(じゃあ掻かなきゃいい、と言う人は痒みの何たるかを知らぬ人である。寝てる間に手錠を引きちぎってでも掻くよ、実際)。まったく一年中秋と冬を繰り返してくれるとありがたいのだが、とかくこの世はままならぬ。

暑いこと自体が嫌いなわけではないのだ。じんわりと暑い中、日陰で敢えて熱いお茶を飲む、なんてのは嫌いじゃないわけで。要するに流れる汗をそのままに移動したりしなくともよい状況に限られるのだけどね。

そんなわけで、この季節は「汗対策」として「吸汗シャツ」と「銀スプレー」が欠かせない。前者は汗を肌から離してくれるし、後者は殺菌効果で汗がアレルギー要因となるのを防いでくれる。……なんだけど、その双方をあっさりと無効化してくれやがるのが「ワイシャツとネクタイ」である。首周りに溜まった汗はなかなか乾かず、痒みを引き起こして肌がボロボロになり、仕方なく会社で襟首を濡れタオルで拭ったりするのだが、それは同時に銀効果も拭うわけで……。毎年夏が来るたびに、スーツを着るこの仕事を辞めたくなる所以である(w

Summary="−−−−" Physical:-- (2003/05/26)

【2003-05-27-火】

【閉じる輪】

映画「マトリックス」モチーフのアニメ作品集、「アニマトリックス」の一部がオンラインで見れると聞いて、先日ちょいとアクセスしてみた。高解像度版は十分に鑑賞に堪えうるクオリティで、(この帯域時代になってすら)妙に解像度を落としてあるその辺の映画予告編程度を想像していただけにご満悦。

実際に見られた4作品、うち2つは戯画的要素がどぎつい癖に半端にストーリーがシリアス風と、バランスが取れてなくて気持ち悪くなってしまい今ひとつ。しかし1つは「ああ、マトリックスのアクションをアニメにするとこうなるだろうな」という、動きの美しさを追っていてなかなかに好印象でした。

……で、風の噂に「一作品、渡辺信一郎が撮ったアニメがある」というコトだけは聞いていた如星。自分はアニメをほとんど見ないのだけど、唯一例外的に「CowboyBebop」に惚れ込んで彼の名は知っていて興味があったのデスよ。で、実際にはどれがそうなのかまったく知らないまま作品を流していったのだけど、見終わってすぐにピンと来た映像が。すなわち「ディテクティブ・ストーリー」、アニメ素人な私でも「まるでシグネチャのように」ナベシンのトーンが埋め込んであると分かる作品だったのだ:)

話自体は本物を見てもらうとして、彼が「CowboyBebop」なんかでもよく使った手法のひとつで、如星が「輪を閉じる」と呼んでいるモノが、この「ディテクティブ・ストーリー」でも使われていたのだ。この手法、きっとシナリオライティングの講義等受けていればキチンとした名前が分かるのだろうけど、簡単に言えば「話の最初で出したシーン/台詞/曲/小物を、話の最後にもう一度登場させ、物語を一つのリングに仕立て上げる」方法である。伏線とは異なり明確なメッセージは持たず、シナリオ自体に強く関わるわけではないのだけど、話の「輪を閉じ」てキリリと物語を締め、観客をニヤリとさせてくれるのだ。ナベシン作品で自分が親しんでいるBebopで言えば、第5話「堕天使のバラッド」に登場する「スペードのエース」がそれに当たる。Bebopという作品自体、第一話冒頭と最終話を同一のトーンで「閉じる」手法が使われているし。

この方法は万能というわけでは当然ないのだけど、不思議と如星のツボにはまることが多いのだ。だから自分も拙作二次創作の中で使ってみようとしてるのだけど、伏線ほどのシナリオ性を持たせずに、ちょっとした「モノ」に意味をこめるってのは、なかなかどうして難しい。だからこそ、それが見事に決まっている作品を見ると惚れ込んでしまうのである。

「ディテクティブ・ストーリー」、ラスト・シーンを是非見て欲しい。短い数分の短編ながら、しっかりと「輪が閉じている」のが分かると思う。Bebopのようなトーンにニヤリとする人には、是非ともお勧め。

Summary="−−−−" Physical:-- (2003/05/27)

【2003-05-28-水】

【Ladies'n Gentlemen, this is Channel-2】

2ch語というのは難しい。いやその文法が、というのもあるだろうが、それ以上に使いどころが、である。

俺はそんなに2chを見るわけではない。情報収集等の目的がある時に該当スレをガッツリフォローすることが主で、世間的表現からすれば「おかちゃねらー」とでも呼ぶべき程度かも(まぁ昔は過激恋愛板にいたと言うのは公然の秘密だけど)。ま、2ch語といってもその幅は広いし、狭義には単なる語尾、略語、一行AA程度だけど、広義にはAA、反応のお作法、テンプレ、煽り等々を含むし、また板ごとの文化の差異も無視できない。もはや一概に「2ちゃんねら」と語れない領域であることは確かだろう。

その文化論的なレベルの話まで行かずとも、例えばちょっとした語尾に「(;´Д`)」とか付けたくなることはあるわけだし、オンラインチャットでは「藻前等……」とツッコミを入れたくなることもあるわけだ。無論「(笑)」等と同じで正式な文章では論外だし、チャット以外の日記程度の文章でも頻出させればウザいだけ。それは分かるんだけど、チャット場所、日記ネタのタイプの差異等で、果たして「この場で(軽くでも)2ちゃん語を使ってよいものだろうか」という判断は意外と付けにくいシチュエーションが多々あるのだ。

一番端的なのはネトゲ。2ch語のようなエモは、正確さよりスムーズさを重視するチャットでは非常に有益なんだけど、果たして相手にそれが通じるか、意外と判断が効かない。中には2chなど見ないという人もいるだろうし、そんな人に「ハンタなんて銀矢代掛かってますが何か(w」などと言おうものなら激しく気分を害するでしょう。かといって、ネトゲ如きで恐る恐る喋るのもなんかなー、という具合だ。

要するに問題は、「周りの人/一般に2chがどれだけ広まっているか」、実感がつかめていない所に根があるのだろう。インターネット自体に対するイメージ、ネットにどっぷり浸かっている人間の落ちる罠と同じで、一見自分の周りだけを見ると「もはや全人口の8割は使っているに違いない」などと思いたくなるのだけど、もちろん実際にそうであるはずはない。その自分の認識と環境の現実のギャップが一番端的に感じられるのが、2chでありネットワークであるとゆーことなのでしょうな。

ちなみにこの日記では、各トピックごとに、内容によって一応統制掛けてるつもりです:)

Summary="−−−−" Physical:-- (2003/05/28)

【2003-05-29-木】

【食は趣味です。断固。】

翌日の有休をさっさと確保して、キリキリ離脱。萎え離脱を休みをはさむ事で完璧にしたいしね。

てなわけで、今宵はSerieの常連さんを交えて晩飯。Serieのある辺りを更に奥、住宅地のど真ん中まで進んだ辺りにある「あすなろ」へ。その常連さんのお勧めと以前から聞いていたけれど、実際に出向くのは今回始めてである。本当にこんな住宅地の奥まで来ちまって店があるんだろうか、と不安になった頃に忽然と登場するその店は、いわゆる「民家にはさまれて何故か存在する旨い店」であった:) 久々に純和風の魚介を、このクオリティとしちゃ驚くべき値段で堪能。ネタも腕も良いし、こういう不思議な立地の旨い店って、珍しいけど確実に点在していますなぁ。

先日の「リリアル」のように、忙しいとついつい既知の安全パイに走ってしまう中、やはり「趣味レベルを信頼できる」相手が紹介してくれると楽に世界が広がっていい:) もちろんアンテナを張る努力自体を怠ってしまうと、受け手としても退化してしまうので微妙な線ではあるけれど。そして「趣味レベルを信頼できる」相手として、Cafe Serieの常連、というのは文句のない選別要件でありますな。

つくづく思うのは、食い道楽というフレーズである。美食などというと金持ちの娯楽のように取られるけど、別に「趣味」として考えれば、ひと月に一定の金を掛けてるのも自然に思えてくるでしょう(え゛、きませんか?(w)。まぁSerie常連は食い道楽以外にも強烈な趣味を持ってる人間が多いのだけど、それが「食」と趣味として自然に研鑚していく下地にもなってるのでしょうな。ま、流石に俺はまだ「胃の中にフェラーリが停まってる」ほどではないけれどね:)

今宵は最後をStoneFreeで、19世紀のマディラ酒などを飲みつつ、琥珀色に染まったその酒が閲した歳月、潜り抜けた二度の大戦に想いを馳せながら。一切の尖りというものが消え失せたその酒をこの静かな黒い空間で飲んでいると、まぁそんな気分にもなろうというものです。一足お先に、めでたく週末入り。

Summary="−−−−" Physical:-- (2003/05/29)

【2003-05-30-金】

【フルスクラッチ・チューニング】

さて昨晩はめでたくぶどう氏邸に格納されたわけだが……(ぇ)。ま、別に急ぐことも無くのんびりと午前中に帰宅。

で、本日の主眼は「自宅PC増強」。さほど今のパフォーマンスに困っているわけではないけれど、一応3D系のソフトを動かすケースも増えてきたし、同人誌作成系のソフトウェアは決して軽くはない。……が、切羽詰ってはいないんだよねぇ。曲がりなりにもコンピュータ系の道を歩いてきて、自作もガンガンしていた自分が、今現在の時点での「最低ライン」よりも遅いPCを使っていて不満がないとは……逆にいえばアプリ側の要求性能も頭打ちなのだ、ってことを実感する。ゲームさえやらなければ3〜4年前のPCでも十分に機能してしまうのですな。そういえば、前回大幅に自宅PCを増強したのはやっぱり3年前の夏だった。PentiumIII 700MHzなのだが……逆にいえば、あの時点でのグラフィック周りも含めた基幹系交換で、3年間戦線に留めさせることができたというわけである。

ま、性能への要求が無いわけではないこと、消費欲(≠物欲)が渦巻いていることから、基幹系入れ替えの決定自体はあっさりと。が、何せ近頃は他人に組むことすらなく、自分の知識は3年前でほぼ停止中。慌てて錆び付いたリンク集と詳しい友人とっ捕まえての情報収集で、どーにか「今のトレンド」を把握する。こういうのって、日々触れてないとあっさり着いていけなくなりんすな。……ま、小一時間程度で追いつけたのは昔取った杵柄か、友人の説明が巧かったからか、はて。

さて、実際の買物は、まぁ可も無く不可も無く。昔とプライスリーダーたる店が変わっているぐらいだけど、やっぱり「通販」では得られぬ「店員の助言戯言」並びに「衝動購入のポリシー」こそが、わざわざ秋葉に出向いて足で稼ぐ所以ですな( ̄ー ̄)。……というわけで、今回変わった個所をまとめてみるとこんな感じに。

parts
CPUPentiumIII 700MHzPentium4 2.6(C)GHz
Chipset815E865PE
BaseClock133MHz800MHz
MemorySDRAM 512MBDDR PC3200 1GB
GraphicsGeForce2 GTS(Spectra8400)Radeon9500Pro(Sapphire)

クロック数だけ見ても3倍以上か……。しかし今回も価格性能比の良いところで、かつ上の方を買ってみたつもり。果たして今回も3年持たせることができるのか、ま、やってみるとしましょう:)

が、今回痛かったのは電源。ATXの規格が変わっているので、電源ユニット自体を買い換えなきゃいけなかったのだが……。従来のユニットが静音型で定評のあるものを使っていたので、今回もそれなりの静音性は求めたい。そういう電源ユニットは正直高いので、実質メリットのない買い替えは結構痛いのだ。

それでも一応選別して買っては来たのだが、一通り組みあがり、さて電源を投入しようとしたところで問題が。後部の規格が合っておらず、ケーブルが差さらないのだΣ( ̄□ ̄;)。実際の電源ケーブルの差込口が、ケース上部のリムで1mmほど隠れてしまっている……これには参った。ケースは精密な規格工作で定評のあるモノなので、そっちが悪いとは思えない。電源側の作りがアバウトなのだろう……鬱。

結局、先に電源を挿してからケースにはめ込み、最後はネジで締め付けてケーブルのコネクタゴムを削り入れるという荒業で解決。まったく最後にえらい罠を用意してくれるもんだ。

Summary="−−−−" Physical:-- (2003/05/30)

【2003-05-31-土】

【Stand Alone Complex】

友人が「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」のDVDを現行まで揃えたと聞いて襲撃。そやつの自室はプラズマテレビに金の掛かった音響を備えているので、当然鑑賞会はそこで:)

さて、攻殻機動隊。原作自体、高度に完成された未来視的な作品として大のお気に入りである。そもそもシリーズ最初の有名なフレーズ、今でこそ自然に近未来SFの台詞として読み流してしまうけど、よくよく考えてみればあの言葉が書かれたのは1989年なのである。

企業のネットが星を被い、電子や光が駆け巡っても
国家や民族が消えてなくなる程
情報化されていない近未来

士郎正宗、攻殻機動隊“Ghost in the Shell”冒頭

1989年と言えば、まだ一般社会じゃインターネットなどというモノを誰も知らないような時代。現実の世界じゃ「ハイパーテキスト」が学術分野で広がってきていたものの、逆にフィクションじゃ「宇宙に浮かんでる巨大なサーバーにアクセスしに行く」というスタイル程度にしか未来のネットワークを描いていなかった頃に、徹底した自立分散系とバイオの話を描いてるって驚きですらある。

そんな思い入れの深い「攻殻機動隊」、さて映画に続きアニメの出来は如何にと心配していたのだけど……結論、安心。うーん、レベル高い。テレビシリーズとは言っても特殊な立場にあるからかもしれないけど、正直「金が掛かってるなぁ」とニヤリとしてしまった。シナリオとしても、世界構築は緻密に、ストーリー構成は設定に頼らず、という良質のSF/ファンタジーモノのレベルを満たしているし。原作に無いテクノロジーを描く際でも、技術体系と社会体系双方の裏打ちを忘れていない辺りは流石である(この辺りは非常に谷甲州的なんだな)

全体として「製作者は攻殻好きだねぇ」と感じる程、細かなトーンに至るまで「原作の雰囲気」を出そうと努めてるのが見て取れた。攻殻2を読んでいるとにやりとするような小ネタ(ヘカトンケイルやクロマ姐さん等)をさりげなく出している辺りもポイント高し。SF屋、そして無論攻殻ファンにも安心して勧められるアニメでした。今後も楽しみ。

Summary="−−−−" Physical:-- (2003/05/31)

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