MACHINA EX DEO
如星的茶葉暮らし

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11月中旬→

【2002-11-01-金】

ふと気が付けば11月。
「十一月は黄昏の季節、人も時間も歩を速めて歩み去る」とは誰の台詞だったか。秋は気を抜くとあっという間に過ぎ去って、秋晴れの散歩を楽しむ間もなく冬が来る。新作を書かぬまま秋が終わるかと思うと、幾分忸怩たるものもあるのだけど。

それにしてもやっぱり冬はいい。
一つには寒さは着込めばいいが暑さは脱いでも変わらない、という単純な理由。ま、冷えて乾いた空気のほうが調子がいいなどというコンピューターと変わりはない存在ですのでね:) それに何をするにも暑さと汗に邪魔される夏よりも、冬の方が遥かに行動的になれるのも確かだ。寒くて外に出たくない、という方向に傾かないのは不思議なものだけど。

その不思議に対する回答の一つであり、同時に冬が好きなもう一つの理由は、やはり冬こそが一年で一番「暖かい」季節である、という情緒的なモノだ。布団の暖かさ、コタツの暖かさに始まり、寒い外に出ても屋内に入ったときのホッとする暖かさ、そして誰かと手を繋いだ時の小さな暖かさ。寒いからこそ、温もりという言葉の意味をこの上なく実感できる季節だと思う。そういえば、ともすれば暑さで鬱陶しがられる小さな配慮が冬は自然に相手に届く気もするし、冷たさと暗い世界がもたらす綺麗な世界は、言葉の表現をも情緒豊かにしてくれるのかも(表現力のなさを棚に上げつつ)

ま、冬の世界にも必死に明かりを灯し、人が活動を続けているということ自体に嬉しさを感じてしまうなんてのは、歴史ヲタクの文明論的に過ぎる感傷だとは思うがね:)
週末入りの徒然を探したが珍しく誰も捕まらず、仕方ないので素直に帰宅。
寒さの中を足を速めて歩み去る、と……
Summary="n/a" Physical:90 (2002/11/01)

【2002-11-02-土】

渋谷の「例の」酒屋へ、ちょっとした誕生日プレゼントを買いに。
酒とお茶は楽でいい。食い物ギフトの特性と同じく、とりあえず上げて迷惑になることはないし、無難なモノであれば食い物程相手の好みを気にする必要もないし、ナマモノのような気遣いもない。おまけに世間ではサラダ油よりは粋なプレゼントとされているので、これまた尚良し、である:)

それでも、紅茶は「茶葉でわざわざ飲まない」という人も多数なので(茶飲みとしての信条は曲げても、だがせめて良質の)ティーバッグにしてみたり、酒であればワイン辺りにするとさらに楽だ。一応その辺には創意工夫の余地もあって、プレゼント選びの楽しさも残っている辺りは益々良質のギフトアイテムではないかと思うのだ。もちろん、茶飲みに茶葉を上げる時、酒飲みに酒を上げる時の、微妙な緊張と知識の総動員、相手の喜びで生まれる命中感とはまったく異なるものではあるけどね。

が、自分が呑めないのでワインには弱い罠(;´Д`)
ただ帰るのもナンなので、話に聞いていたCafe rakuda Hotel@代官山に赴く。
アパートの一室を改装した、いわゆるその手のカフェ。内装はなかなか凝っていて、わざわざデッキ張りにした床と少数のくつろげるソファーの雰囲気は、確かに小さなホテルのロビーをイメージさせるモノが。またフードが結構しっかりしてるのは良点かな。

しかし惜しむらくはサービングレベルが凡百だということ。
テーブルにオーダーを置くときのほんの少しの気配りだけで、例えそれがホテルのサービングレベルに程遠くても、周りの雰囲気に助けられ、まさに「ホテル」を名乗れるだけの空気を醸し出すことができるんだがなぁ。残念。
結論:
代官山〜恵比寿方面に来ることがあれば立寄るだろうけど、これ目的には来ないだろうなぁ、という感じ。逆にあの方面に行くことがあれば、妙に安く気取ってないだけに、年寄でもキチンと寛げる店だと思う。良くも悪くも、「いわゆるその手のカフェ」を味わえる。

Summary="−−−−" Physical:-- (2002/11/02)

【2002-11-03-日】

何もしないために出かける日曜日、ってのも中々悪くない。
蒼穹を眺めてると、海が狭く見えるから驚きだ。……ま、湾(横浜港)なんだから当然なんだけど。
Summary="−−−−" Physical:-- (2002/11/03)

【2002-11-04-月】

春は仕込の季節、夏は発展の季節、秋は熟成の季節、そして冬は味得の季節。
ゆっくりと、ゆっくりと。酒にしても人にしても何にしても、暖かい部屋で一年の成果をじっくり楽しむ、そんな季節がやってくる。……いいもんですな。
Summary="−−−−" Physical:-- (2002/11/04)

【2002-11-06-水】

神林長平「戦闘妖精・雪風<改>」読了。
アニメ化の話やらネット上の断片的な情報だけを繋ぎ合わせていると、ロリロリな妖精たんが戦闘機に変身したりしてヒラヒラ、という凄まじいイメージを勝手に持っていたのだが(我ながらどうかと思われ)、ひょんな事からキチンと原作を読むことに。

ヒラヒラどころか超ハードで渋い空戦SF小説ではないですか。
空戦の描写といい、SF的なリアリティのある「異星体」との「戦争状態」の書き込み、登場する飛行機乗り達の心理描写等々、相当に楽しめる作品でした。

しかしこの小説、例えるなら「ラプサン」や「アイラモルト」みたいなヤツですな。
なんと言うか、戦闘機マニヤ以外をかなり置いてけぼり、という作品。その道の人間には渋くて堪らない旨味があるんだけど、そうでない人には何が何だかさっぱりわからない、そんな感じ。文体もあまりこなれておらず、その辺は微妙に先日読んだ「バトルロワイアル」に似たところもあるかな。もちろん、それは決して悪いことではないと思う。小説は万人受けしなくてはならない、というようなアホ風潮は嫌いだしね。

ま、同時に「専門用語を説明台詞無しに、マニヤ以外にも理解させていってしまう」谷甲州氏の力量は流石だな、とも思ったのだけど:)
にしても、「小説家を見つけたら」なんて映画を見た後は、小説の後ろにへばり付いている「解説」ってモンを読む気がしなくなるねぇ。読んだ人間には不要なただの粗筋を載せたり、勝手に「作者の意図」を捏ね繰り回してみたり、社会問題に繋げてみたりする「解説者」は正直うんざりだ。この解説でページ数と原稿料が原価に反映しているかと思うと腹が立ってすら来る。海外作家の翻訳等で、著者の「近況」でも書いてくれているヤツの方が数倍嬉しいね。

というわけで、この「戦闘妖精・雪風」の解説も、ご多分に漏れず上記の「うんざりする」解説レベルなので、正直読まなくて宜しい(w

ウィリアム・フォレスターの言葉は至言なり。
Summary="−−−−" Physical:-- (2002/11/06)

【2002-11-07-木】

今週前半分加筆
他人事とも思えないのでage @niftyねぇ。
昨今DoSアタック(含むもどき)なんて日常茶飯事なワケで、外部からの通報に対する反応がこれでは確かに萎える。サポート・コールセンターの質が追いついてないんかね。

思い出されるのは、昔派遣で某カスタマイズ系の牛メーカの電話サポートしてた頃。
如星は有償の特殊なサポート担当だったのでさほど忙しくなかったのだけど、隣の一般セクションは電話の嵐。それでも「サポート満足度No.1」を売りにするため、皆さん頑張っていたワケですよ。

ところが俺が辞める最後の頃には、大幅な人員交代が始まってたのです。もともと電話サポートなんてストレス激しくて離職率も高いんだけど、抜け行く一方のベテランの穴が致死量に近づき始めたので、バイトやら派遣をごっそり雇ったらしいんすね。……これが凄かった。なんでも「技術レベルより人当たりの良さ」で選んだらしい。ああ、そりゃ電話だもの、コミュニケ能力ゼロのヲタクに来られても困る。だが最低限の技術的素養は不可欠だと思うんですが……。牛製品に関する知識は教育できても、PC関連全般の知識は(ただでさえ牛は自作系に近いとされてるのだ)とても教育しきれるものではないのに。

いやぁ、電話を保留した新人に「えふでぃすくっていうソフトがあるらしいんですけど何ですか?」と聞かれたときには凍りついたデスよ(;´Д`) こんなオペレータに対応されているお客さんは哀れだ(;´Д⊂)

その後牛を辞めてしばらくして牛の日本市場撤退を聞いたとき、さもありなんと思ってしまった自分がいたのでした。末期症状ってあんな感じなんだろーか、と……。

2002.11.08 フォローアップ:……(;´Д`)ソンナミモフタモナイ

Summary="−−−−" Physical:-- (2002/11/07)

【2002-11-08-金】

インスタント・メッセンジャのリストには、今はもうほとんどコンタクトを取らなくなった人の名前も、こちらが消さない限りずっと残っている。そしてその人がそのアカウントを捨てない限り、ただリストに残っているというだけの理由でオンラインになる。ただ、それだけのこと。

なのに、その人がまだリスト上でオンラインになり続けているというだけの事実に、人間関係の名残りを見出そうとしてしまう哀れな心が自分の内の何処かにある。自分の名前など、相手のリストからはとっくに消えているかもしれないというのに。

しかし同時に、ただリストに残っているというだけの理由を縁に、ふとコミュニケーションが再開することもある。私はメッセンジャIDの交換は遊び用メールアドレスよりも更に慎重なタイプだから、そんな偶然で再開する人間関係にはそれなりの重さがあり、嬉しいものである事は確かなのだ。数ヶ月に一度あるかないかのそんな経験がある為に、結果として私のリストから意識して登録を消すことはないのである。

長くなる一方のリストを見ていると、ふと自分が来るはずのない客に扉を開けている道化に思えてきて、ちょいと物悲しくなったりもする。そんな、寒い冬の夜。
the Bar@アリマックスホテル渋谷
前々から気になっていた店なので、ぷく氏と試しに行ってみる。東急をさらにNHK方面に進んだ、かなり渋谷の外れに位置するホテルのバーである。この辺りは街の雰囲気がやっぱりよく、逆に帰りに中心部を抜けなきゃならんかと思うと気が滅入る罠:)

ホテル自体、英国風を謳うだけに非常に端正な良い造りで、ロビーに入った瞬間から「ここに泊まりたい」と思わせてしまう。うーん、見事。この場所にあるこのレベルのホテルの利用層って一体どの辺りなんだろう?……などと4Fへ移動しながらつらつら談義。

バーは以外にソファー席も多い。カウンターとの間には背の低い仕切りがあって、カウンターの空気を綺麗に空間として独立させている感じ。何より独特だったのがカウンターとスツール。いや、カウンターチェアとでも言うべき、肘掛と背もたれのついた高めの椅子が、若干低めで奥行きのあるカウンターに並んでいる。この椅子、背にもたれてゆっくりとグラスを傾けるには非常に心地よい。またカウンター手前には(奥行きがある分)肘を付けるような緩い溝が刻まれていて、バーテンさんと話したりフードを食べるときも、寛ぎのトーンは変わらない。また宿泊客のレベルが高いのか、あるいはワザワザ泊まらずにこの渋谷の果てまで来る人は少ないからなのか、中のざわめきが寛ぐにピッタリの音量。うるさ過ぎず、静か過ぎず、イギリスの「クラブ(パブではなしに)」とはこんな感じかと思わせる店作り。……巧いね。

酒は若干高めだけど手の届く範囲。酒の揃え自体はさほど多くないように見受けられたけど、恰幅の良い「いかにも酒好き」といった風情の女性のバーテンさんが、なかなかにマニアックなモルトを勧めてくれたりもする。ぷく氏の「ホットカクテル」という要望にも、アマレットを使ったオリジナル(ホット・イタリアン)をぶつけてくる等、遊び心を楽しめる感じで、この点もかなり(・∀・)イイ! またフードは流石ホテルのクオリティ、サーディンを頼んだのだけど、立派な「ホテルのレストランの一皿」である。それでいて1000円程度なのでびっくり(下手すりゃナッツやチョコ等の「乾きモノ」で1000円ぐらい取るバーもあるんだから)

……とまぁベタ褒めのコラムになってしまったけど、ちょっと人を連れて行くにも、酒好き同士で行くにも、非常に「使い勝手が良い」バーでした。と同時に、改めて「渋谷外縁部」の底力を見せつけられますた。いつか絶対に泊まりに来てやる(^^;;
Summary="高いと呑み過ぎずいい感じ(w)" Physical:90 (2002/11/08)

【2002-11-09-土】

アパートの一室やオフィススペースを改装したカフェの類が増えて久しい(らしい)
残念ながらこれらのカフェを統合する呼称は知らないのだけど、とにかく本やPCを広げ、過度の喧騒に巻き込まれること無く寛げる場所を求めていたら、自然とその手の店を探すことが多くなった。特に嫌な雑踏の多い渋谷や新宿方面で、ホテルカフェに入らずにそんな環境を手軽に得られるのはなかなかに嬉しい。
# 自分が歳を食っただけ、とはなかなか認めたくないモノである(w

しかしここ数ヶ月「手当たり次第」訪れてみた結果、ようやく自分なりの選別眼がついてきた。ただその道の雰囲気さえ提供されていれば良かった初期状態から選別過程に移行する辺りは、趣味という点で紅茶や同人誌と変わらないね:)

ともあれ、一番基本の判断基準は、それらのカフェが持つ高いプライベート性に見合うサーヴィス・クオリティが提供されるか否か、という点である。意外なほどこのラインを満たせていない店は多い。ある種ラウンジと呼ぶべき空気を店がまとっているのに、接客レベルがファミレス級ではいただけない。マニュアル化されていないだけに余計に落差を激しく感じてしまう。さすがに店長、マスターらしき人が応対するとそれなりにマトモだったりするのだが、それでは商業店としては落第だろう。

上記の基準が「レベル」なのに対し、もうひとつの方は「好み」。各席の空間を効率的に隔離できているか、である。いくらラウンジ風とはいえ複数席の設けられている店内なのだから、例えばフロアに向けて何もなく開かれたソファー席等にはどうも座る気がしない。狭い店が多いのは確かだけれど、椅子の向きやインテリアの配置次第で、心理的に各席の「私的空間」を維持することは十分可能なんだがなぁ。ま、「好み」と銘打った通り、店全体がひとつの客であるかのような雰囲気を好む人もいるだろうから、それはそれでヨシ。自分が行く店を選べばいいだけのこと。

まぁお前、要するに神南サロンは私的最高評価のカフェだってこった:)
というわけで、夜の飲みまで神南サロンで時間つぶし。
仕事上がりと結婚式上がりの友人と合流しての思わぬ雑談タイムを、お茶とリキュールと甘いもの、そしてマスターの暖かい接客が見事に受け止めてくれる。不意の偶然で同じ店に向かうことになったのだけど、思うにこんな私的空間に近い場所でのひと時を突発的に共有できるのは、よっぽど親しい人間に限るね。何よりも和む、貴重な時間である。
ここ半年以上、日常的に親しくしている人間か、趣味を同じくする同志としかメシを食っていなかったからか。一年ぶりの知人との飲み会は、微妙にずれる会話のテンポに戸惑う。まぁ、お互い別のベクトルに性格が進んでいるってことなんだろうけどねぇ。
Summary="−−−−" Physical:-- (2002/11/09)
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