VERBA VORANT, SCRIPTA MANENT.

「ToHeart2」短編小説

維如星ウェイ・ルーシン

あの日、あの時、あの場所で。

ちっぽけな横線が彼を休日の学校へと追いやり、
ささやかな生理現象が彼を校内へと導き、
そして僅かな好奇心が彼を屋上へと押し上げた。

それは本当に小さな偶然の連続。
決して交わらないはずだった二つの人生。
彼方の蝶の羽ばたきが此方の暴風を起こすかのように、
小さな行動が世界を瞬きの間に変えてゆく。

───ただ、それでも。
   偶然が何をもたらそうと、
   例えば幸福や不幸を決めてゆくのは
   行動というヒトの技の領域なのである。

ToHeart2サイドストーリー
"FABVLAE VIRGINES PRVNORVM"

未来の一つの顔another face of tomorrow

維如星ウェイ・ルーシン

1.the Empire State Christmas

December 24th, 2005

その角を曲がった瞬間、世界は光に包まれた。


黒く聳える人工の森の中に、祭壇のような空間がぽっかりと空いていた。空中には青く星や雪の結晶が煌き、正面から流れ落ちる水階段はその光を何層にも映し込む。両脇には誘うかのように金色の天使がずらりと並び、高々とホルンを掲げて足元を行く人々を祝福している。

俺はぽかんと白い息を吐きながら、しばし寒さも忘れて立ち尽くした。そんな自分の反応に、隣から得意げな空気が微笑みとなって伝わってくる。

俺たちは無意識のうちに互いの手に少し力を込め、人々の流れに乗って更に奥へと歩みを進めた。

祭壇の手前に広がる銀盤が夜空と白黒のコントラストを成し、頭上に架かる無数の煌きを下から優しく支えている。その上では深夜にも拘わらず、沢山の人が家族や恋人と滑りまわってはしゃいでいた。

俺たちは氷の袂で再び立ち止まり、改めてコンクリートの祭壇の中央に聳える光の束を見上げていた。

それは世界中の誰しもが知る巨大な光の樹。赤を基調に無数の色に包まれたそのツリーは天を突くようでいて、まるで俺たち日本人には見慣れた桜のように、そっと枝を差し伸べ見守っているかのような優しさを併せ持っている。

「本当に、ここまで来たんだ」

何度も心の中で思い描き、映像を眺め、そしてその全てを凌駕する現実を前に、そんな言葉が俺の口から滑り落ちる。

「うん、やっと二人で、ここまで」

傍らで光の洪水を受け止める瞳、つないだ右手のぬくもりと、耳を振るわせる恋焦がれた声が、今自分がこうして立っている場所を改めて主張する。

──この感慨は、初めて見る巨大なクリスマスツリーに向けられたものじゃあない。ロックフェラーセンター、ニューヨーク──その有名な名前を冠したこの場所に、遂に二人で立っていることへの想いだった。

彼女は一旦繋いだ手を離すと、純白のコートの裾を翻し、ツリーを背にくるりとこちらに振り返る。


「Welcome to the Empire State's Christmas」


鈴の音のような英語。彼女は改めて見惚れる程の幸せそうな笑みを浮かべ、身体の前でちょこんと手を組み、儀式めいた雰囲気で俺を再び出迎えた。

「ニューヨークへようこそ、貴明さん」

遂に来たのだ。俺たちは、ここまで。


2.the Second Encounter

December 23rd, 2005

『当機はまもなくJFK国際空港に到着いたします。現地の時刻は午後四時二十分、天候は晴れ、地上気温は摂氏三度との報告を受けております。Ladies'n Gentlemen, we're soon arriving to……』


二〇〇五年十二月二十三日。

十三時間のエコノミー生活に腰はバキバキ、慣れない空気で少し頭をふらつかせ、それでも貴明はすぐそこに迫った再会に胸をときめかせながら、シートベルトサインに従って席についた。

窓からは夕暮れ時のマンハッタンがもう手に取るように見える。沈む夕日が真横から眺め下ろした摩天楼の格子を黒く打ち出し、その隙間を規則正しく交互に縫う赤と白の光の線が目に付いた。

(あー、マンハッタンの道って東西一通が交互にあるとか言ってたっけ)

五ヶ月前、車のフロントライトとテールランプが街を碁盤の目に刻む様を、嬉々として報告してきたささらの声が彼の耳朶に蘇る。ちょうど似たような時間に彼女もここを通ったかと思うと、その偶然に思わず顔が綻び、旅の疲れを一時忘れさせた。

とは言え、その効果はあくまで一時。ささらは全然大丈夫だったなんて言ってたけれど、やはり初めてにして長時間のフライトは結構堪えるモノだ。冷静に考えてみれば、一箇所に座りっぱなしでも苦にならないタイプな彼女の台詞をそのまま彼自身に適用する方が間違っているわけで──


『当機はJFK国際空港に着陸いたしました。飛行機が完全に停止し、ベルト着用サインが消えるまでお座席でそのままお待ちください……』


今度こそ本格的に疲れは忘れ去られ、座席の下で彼の足は知らず爪先立ってゆく。

──あの分厚い扉の向こうにささらがいる。

五ヶ月ぶりの、本物の久寿川ささら。梳けば指の間から零れて行きそうなさらりとした髪、ほんのり青みがかった瞳、抱きしめた時に触れる腕の柔らかな感触──そんな感覚にもまして彼女を思い出させるのは、実は何よりも彼女の匂いだったりする。ちょっと変態めいた行動と自問しつつも、送られてきた手紙に鼻を近づけて、記憶の中の残り香に想いを馳せる日々。メールでも写真でも補えない、彼女との貴重な記憶の一部。

その全てが一斉に頭の中で蘇り、子供っぽいとは知りつつも、ますます待ち切れない思いで頭上の荷物棚とベルトサインを睨みつける貴明であった。


無論、この時の彼は知らなかった。

この後機体がスポットに到着し、エコノミー客として前の客がぞろぞろと降りるのをちくちくと待ち、入国審査ゲートで延々と並び、自分の荷物が出てくるのをぼーっと眺めるという、到着ロビーに至るまでの素敵な小一時間が待っていることなど、初めての渡航で知っているはずもない。故に、早々と膨らませてしまった妄想には、生みの親たる貴明をたっぷりと苛む時間が与えられたのである。合掌。

(あ、あらいばるターミナル1、税関出て左、エスカレーター手前……)

同便の団体客らしいおばちゃんの群れに先行され、ことごとく行く手を阻まれる苛立ちと慣れない英語で完全にグロッキーになり、やっとの思いで到着ロビーに吐き出された貴明には、もはや颯爽とトランクを引いて彼女との感動の再会を演出する気力など欠片も残されていなかった。ささらに伝えられた待ち合わせ場所の走り書きを頼りに、へろへろとトランクを引きずって歩いてゆく。

それなのに。

「たかあき、さん」

目が覚めるのには、その声だけで十分だった。

どんな雑踏の中でも聞き分けられる声。電話を通ると削ぎ落とされてしまう、不思議な何か。

指先に到るまで意識が覚醒する。彼は即座に声のした方に身体を向け、そして湧き上がった震えが束の間、彼から呼吸を奪う。

──ささら」

泣くな、違うだろ馬鹿。今すぐ駆け寄って、両腕を広げて彼女を抱きしめて、髪を撫でて、キスして、笑って、それでそれから──

脳内の予行練習は全部消し飛んだ。

それ以上声をあげる間も無く、彼女が貴明の胸に飛び込んでくる。それを必死の思いで受け止め、きつく腕の中に抱きしめる──二人とも、お互いにただそれだけで精一杯だった。

久しぶり、会いたかった、寂しかった、好きです、愛してる。そんな当たり前の言葉は何一つ浮かばず、固く抱き合う身体と、自然と浮かんでくる涙だけが再会した二人の空間を支配していた。


どれほどの間そうしていたのか。

ようやく彼らは少し身体を離し、お互いの顔を見つめたところで、通りすがりの初老の紳士が小さく口笛を吹いてゆく。ジャップにしてはやるな、といった風情の嫌味のない冷やかしに、固まっていた感情の泡が一気に弾け、二人は赤面して苦笑する。

「あーその、久しぶり、ささら」

「うん、久しぶりね、貴明さん」

やがてゆっくりと、数ヶ月ぶりに重ねられる唇。

自然と指で梳いた髪から漂う、記憶と寸分違わぬ彼女の匂いが、ふんわりと貴明の鼻をくすぐった。

「貴明さんも今日は疲れてるでしょう? 夕食は母が用意するって言ってたから、とりあえず今夜は家でゆっくりしましょう」

窓の外を流れる異国の街並み。空港から彼女の住むマンハッタン島までは、ささらの母が手配したリムジンで移動している。そのゆったりとした座席の上で、そっと手を重ねたまま彼女は微笑んだ。

一方、タクシーなどではなく、運転手付きにして黒塗りの車など初めての貴明は若干緊張していたが、右手に重ねられた、少しひんやりしたささらの手のひらがそれを忘れさせてゆく。そもそもリムジンサービスはこの国ではさほど格別な存在でもないらしく、一人娘を迎えに寄越した彼女の母親にしてみれば、安心をちょっとした金で買っているという程度の認識なのだろう。

そう、何せささらと貴明は、あれだけ派手に彼女の両親とやりあってからの関係である。自然、彼らの仲は完璧なまでに母親公認という代物で、今回のNY行きでももはや相談の余地もなく、貴明の宿泊地は彼女の自宅に決まっていた。

(アパートとは言え、キチンと客用の寝室が用意されてるらしい。……別に残念じゃないぞ、うん)

そんな不埒な思いはさておき、元より格安航空券で手一杯の彼は、少しでも彼女との時間が増やせる意味もあって、その厚意は素直に受け取っていた。

実際、あれ以上バイトを増やすと受験どころか進級すら怪しくなりそうであり、いくら現生徒会がまーりゃん先輩の薫陶宜しきを受けてるとはいえ、そんなところまで真似するなと担任からの懇願、もとい厳しい指摘があったりもしたのだ。

一方で、彼女に会いたければいつでも旅費ぐらい出す、という彼女の母親の言葉だけは毎度笑って済ませてきた。そもそも冬休み以前の週末や三連休程度で往復できる距離ではないが、学生の身に圧し掛かる航空券の値札が貴明の脳裏を何度も過ぎったのは確かである。

だが、それでも。再会は自分の手で勝ち取らねば意味がない、という理由が一つ。加えて、娘のためなら何でもする、という彼女の「愛し方」をこの期に及んで肯定するわけにはいかなかった。もちろんあの騒動以来、ささらの母親も娘との関係を共依存から信頼へとシフトするよう努めてはいるのだが。


それにしても、車窓から覗く街並みが見慣れぬとは言えある意味平凡な住宅街ということもあり、貴明にはなかなか「ニューヨーク」という言葉が現実感を伴ってこなかった。

「なんか……まだ実感が湧かないな」

その正直な感想を思わず彼は口にする。

「え──それって、でも、それは」

妙な勘違いをしたのか、ささらの顔が薄暗い車の中でもわかる程に赤くなる。手を重ねているだけじゃ足りないのね、でもほら運転手さんだって見てるし、私だってもっと腕を絡めて貴明さんを感じていたいけど(きゃっ)それは車を降りてから──

「へ? ああいやそうじゃなくて!」

例え久しぶりでも、ささらが何を頭の中で急速進行させているかぐらいはすぐ分かる。貴明は慌てて言葉を継ぎ足した。

「いやほら、自分がアメリカにいる、ってトコがさ。ちゃんとささらが隣にいる、ってことはもちろんそれ以外ありえないんだけど」

と、重ねられていた手を少し動かして、今そこにいる彼女は紛れもない現実だというように、彼女と指を絡めなおす。

しかし一方で、彼にとってニューヨークは半年間常に「いつか行く場所」であり続けた為、逆に現在進行形の現実としてなかなか認識できないのだ。

「だからさ、今はまだ本当にささらがいてくれるって嬉しさで手一杯で、今いる場所の現実感が追いついてこないっていうか、その」

さりげなく恥ずかしい台詞だ。そう思いながらも、貴明は自分の戸惑いと嬉しさを素直に白状する。不意に投げかけられたその想いにささらは一呼吸の間硬直し、そして彼の頬を軽く突付いた。

「ふふ、バカね──すぐに慣れるわ」

それは、別に彼女が冷静に再会を受け止めているという意味ではない。

「わ、私だって、今は貴明さんのことしか考えられないわ。もう夢じゃないんだって想うので精一杯」

もしこの運転手が例えば日本語も分かる雄二辺りであったなら、今ごろ次のカーブをドリフトターンでもして悔しがったことだろう。

「でも、もし私が落ち着いて見えるとしたら、それは多分貴明さんをお迎えしなきゃ、って気持ちがあるからね。しっかりしなきゃ、って」

しっとりとした表情でそう告げる彼女の声は、まぎれもなく「先輩」のものだった。あの夏よりもさらに一回り先を行かれたような、そんな嫉妬にも似た感情が貴明の意識の端を掠めた。

「なんか、ちょっとささらに負けた気がする」

「一応『ホームゲーム』なのだから、それぐらい感じてもらわないと困るわ」

得意げにそう微笑む彼女に、貴明はささやかな反撃を試みる。

「そ、そう言えばささら、今『もう夢じゃない』とか言ったような気がするんだけど、それって」

「え? そ、それは……」

僅かの間途惑うささらだが、今宵は開き直った乙女の方が少しばかり上手だった。

「た、貴明さんは見なかったの、夢──

「……俺も見ました。何でもアリマセン」


──この時の二人は知らなかった。

この運転手、日本人の送迎を専らとし、日本語だってそれなりにできるのである。二人がそれに気づくのは、車をアッパーイーストの彼女の自宅前につけた後、彼女の母親と運転手が日本語で挨拶を交わすのを見てからだったりする。その時の二人の赤面の理由を、彼女の母親が気づいたかどうかは定かではないのだが。

──Miss Kusugawa, we're approaching to the Brooklyn Bridge on the exact timing.(久寿川様、まもなく絶妙のタイミングでブルックリン橋を通過しますが)

だから、ここで英語を使ったのは彼なりの皮肉か、いやむしろ二人の時間を邪魔しないための配慮だったのだろう。

「So May I suggest you telling your guest to keep his eyes outside the window.(お連れ様に窓の外をご覧になるようお伝えされては如何でしょうか)

執事然とした運転手はそう言ってバックミラー越しに微笑んで見せた。ささらは慌てて一言感謝を伝えると、貴明の腕を引いて注意を促した。

「え、なに? 今運転手さん何だって?」

一応渡米を見込んで漬け込んできたはずの貴明の英語能力が今ひとつ不発なのはさておき。

「貴明さん、ほら、見えてきたわ」

「何が、って、あ、あれ──


既に日は沈み、空は最後の残照を受けて藍と紫のグラデーションに染まっている。高速の両側に立ち並んでいた雑然としたアパート群が不意に開け、黒く闇に落ち始めた水面が視界に飛び込んでくる。

その向こうに燦然と浮かぶ光の森。

まだ仄かな明るさを残す黄昏の空を背に、無数の摩天楼が天の川のような星々を纏って彼方まで伸び、夜の水面をうっすらと彩っている。

その人の手による光の森に向かって、此方より一直線に伸びた橋が威容を誇る。摩天楼と同じく近代的な光を纏いつつも、その石造りのアーチに何処か歴史の風格を感じさせる巨大な吊り橋。

水面の名前はイーストリバー。

橋の名前はブルックリン。

そしてこれ以上ないほど象徴的な夜景として貴明の前に姿を現したその光の島こそが、彼が彼女を追い地球を半周して到達した、ニューヨークシティの中心地、世界の心臓たるマンハッタン島であった。


──どうかしら、少しは実感が湧いた?」

先ほどまでの得意げな表情とは打って変わり、むしろ初めてプレゼントした手作りのチョコの感想でも聞いているかのような、そんな窺うような声でささらは貴明に声を掛けた。

一方の貴明は、絵葉書で見るかのような完璧な光景に、しばし言葉も出ないようだった。

「……うん、とっても湧いた」

そんな間の抜けた返事を辛うじて返し、そして改めてささらの方に向き直ることで、彼女の浮かべていた安堵の表情に気が付いた。

「よかった──私、これを貴明さんに見せたくてわざわざ少し遠回りをしてもらったの」

彼女は深々と座席に座りなおすと、少し遠い目をして言葉を継いだ。

「私ね、貴明さんと離れて初めてアメリカにきて、やっぱりすごく不安で、母と向き合うことも、外国の生活ってことも、貴明さんがいないんだってことも、急に心を締め付けてきて、それで──

確かな決意を持ってアメリカに渡ったささら。

それでも、何処へとも分からぬ地へと運ばれて行く時の不安は、今まで殻の中で生きてきた彼女にとってどれほど強いものだったかは想像もつかない。

「その時、あの日は夏だったけど、やっぱり今ぐらいの空の時にここを通って、この夜景を眺めたの」

煌びやかな宝石箱。無限の可能性を秘めた街。

だが彼女がそこに見出したのは、この美しい光を届けたい、ただ一人の青年の名前だった。

「それで思ったの。貴明さんにこれを見せてあげたいなって」

彼女はそう言って、貴明の頬にそっと触れた。

「……ううん、これだけじゃない。これから私が目にする物、これから私が歩く道──その一つ一つをいつかあなたに届けよう、そのために、どんなに辛い事があっても、全てを忘れずに心に刻んで行こうって、そう思ったの」

ささらがそう言葉を結んだところで、貴明は思わず笑みを浮かべながら、自分に触れた彼女の指先を自らの手に取った。

「お、おかしいかしら、夜景一つでそんなことを考えるなんて──

彼の笑いの意味を取り違えたのか、彼女は慌ててそんな言葉を付け足した。だが貴明は焦ることなく、ゆっくりと自分の感じた思いを彼女に伝えた。

「全然おかしくなんてないよ、むしろすごく嬉しい。向こうに行っちゃったささらに、もう自分ができることなんて何もないって思ってたから……」

そう言いながら貴明もまた、彼女が旅立ったばかりの抜け殻のような日々を思い浮かべた。

「や、その、俺が何もしてないことに変わりはないんだけど、それでも自分の存在が少しでもささらの支えになってたってのは、ホント嬉しいんだ」

はにかむような彼の台詞。ただその照れた笑いは、先ほど彼に浮かんだ笑みとは別のものであることにささらは気づいていた。

「でさ、実は俺もさっき同じようなことを考えてたんだ。ささらほど大した話じゃないんだけど」

「そ、そうなの?」と、思いがけない彼の反応に彼女は目を大きく見開いた。

「うん、さっきっていうか、ちょうど飛行機が着陸する手前で。ちょうど真横から見下ろす感じでマンハッタンが見えてきて、その夕日の影になった街の中に赤白の光の線が見えたんだ」

「あ──

自分の書いた手紙を思い出して、彼女は小さく声を上げた。その反応を貴明は笑って確かめる。

「あ、これささらが言ってた眺めだ、って思ったら何だか嬉しくなってきちゃってさ。同じ物を、同じように眺めて、同じような思いを抱いて──

貴明はゆっくりと、長らく恋焦がれた彼女の蒼い瞳を覗き込んだ。

「今の話を聞いて、完璧に納得したんだ。ささらからの贈り物、もう俺はちゃんと受け取れてたんだって。変な妄想かもしれないけど、俺たちの心は繋がってたんだって、そう思えたから」

それが嬉しくて、思わず笑ってしまったのだと。

貴明が彼女にそう伝え終わると、お互い急に自分が口にした台詞の恥ずかしさに気づいたかのように、互いの手を取ったまま赤く俯いた。

不意に車内に沈黙が訪れる。

しかしそれは、決して不愉快なものではなかった。むしろ、たとえ直接触れ合ったのが数ヶ月ぶりであったとしても、お互いの心は決して離れていなかったのだと、改めて感じられた幸せが二人を柔らかく包んでいるかのようだった。

後にこの車の運転手であるジャクソン氏は、流石にこの時ばかりは咳払いの衝動を抑えるのに必死であり、思わず空調を数度下げそうになったと述懐している。

3.the Two Faces of Tomorrow I

December 24th, 2005

かくして、俺たち二人はこの地に立っている。

ニューヨークでのクリスマスイヴ。まもなく日が変わろうとする最後の時を、俺たちはあの巨大なクリスマスツリーの下で過ごしていた。


ちなみにさっき何処かの電光掲示板を見たところ、現在の気温は華氏二十七度。つまりは氷点下三度である。……寒い。実際ささらから散々こっちの冬について脅されてなければ、ここまで完璧な防寒はしてこなかったと思う。冷静に考えればここって北海道並みの緯度だから当たり前なんだけど。

ちなみにささらは真っ白なファーコートに身を包み、さらに冷え込んできた今はやっぱり白のイヤマフを着けている。元々白い肌がさらに白くなる一方、寒さに頬がほんのりと赤く染まり、服装と相まってまるでちょこんと座った雪うさぎのよう。

もちろんアメリカってことで、周りには色んな人種の人間がいて、いかにも北欧系の可愛い子なんかも目に入る。だがしかし。そんな人種の坩堝の中でも、まったく我が彼女ながら(きゃっ)、ささらの可愛さは異常だ。正直、今こうしている間にも何度も思わず横顔に見とれていたりする。日本にいる時もそうだったけど、彼女を見ていると文字通り「自慢の彼女」って言葉が浮かんできてしまうのだ。

「あの、貴明さん……?」

「ん、どうしたのささら」

「その……か、可愛いって言ってくれるのは嬉しいのよ、でもここは日本の人も大勢いるから──

声に出てましたごめんなさい。お約束です。


ともあれ、俺たちは深夜のロックフェラーセンターをのんびりと歩いてゆく。流石はクリスマス前夜、こんな時間でもミッドタウンは大勢の人出で賑わっていて、ちょっとしたお祭り気分に満ちている。いや、キリスト教徒の人にしてみればお祭りそのものなんだろうけど。

時折街角から流れてくるクリスマス曲、派手なイルミネーションなど、日本でもお馴染みといえばお馴染みの雰囲気なんだけど、何処かこっちのクリスマスは、人の中に根付いた安心感と言うか、暖かみのようなものを感じさせてくれる。

実際に街を歩いてみて感じたのだけど、多分その空気の理由の一つが、家族連れの多さなんだと思う。どうしても日本だとカップル向けってイメージがあるけれど、彼女から聞いた話では、こっちでは日本でいうお盆的な感覚で、散らばっていた家族が実家に集う時期らしい。

「家族、か──

また思わず考えていることが声に出る。

俺の右腕をしっかりと抱きしめて歩いているささらが、そのキーワードにふと立ち止まってこちらを見つめてきた。

「貴明さん、どうかしたの……?」

ささらにとって、家族という言葉は複雑な意味を持っている。そもそも彼女の渡米だって、何かこの国に理由があるというよりは、彼女の母親と向き合う時間を作るためという面が大きい。

「いやさ、もちろん昨日の今日でわかるわけはないんだけど──でも、結構いい感じになってきてるな、って思ってさ」と、俺は素直な感想を口にする。

「ああ、私と母のことね。……うん、昔に較べればお互いに格段の進歩だと思うわ」

俺たちは再びゆっくりとスケートリンクの周りを歩き出す。頭上のツリーから降り注ぐ暖色系の柔らかな光が、二人の気持ちをゆったりとしたものにしてくれている。

「本当に不思議ね、もしあの時貴明さんと一緒に戦ってなかったら──ううん、もしあなたと出会えてなかったら、きっと今でも私は──

それは、今や想像もできない話だけど、でも。

「確かに考えてみると凄いよな。大体俺があの日ささらを屋上で見つけたのだって、いいんちょ──小牧さんが作ったクジのおかげだったりするし」

偶然というのは、本当に分からないものだ。

俺たちは幾つもの偶然と、そして同じぐらいの人の助けがあったからこそ、今こうしてこの場所で数ヶ月ぶりのバカップルな夜を楽しめている。もちろん、偶然や現実と戦ってきたのは俺たち自身であるにしてもだ。

「まーりゃん先輩、このみ、タマ姉、委員長──もしあの人たちがいなかったら、もしあの時あの人たちに会えなかったら」

裏を返せば、俺たちが出会った人の数だけ、俺たちが潜り抜けた偶然の数だけ、二人には異なる未来があり得たってことだ。

──例えば、今では二人の間でも触れることの少なくなった、俺とささらの最大の危機。俺達はお互いを想いながらお互いを傷つけ、下手をすれば心が死に到る傷を負ったまま別れていたかもしれないのだ。いや、それは下手をすればなんて生易しい確率ではなかったと思う。


「俺たちにあり得た未来、か」


今の自分たちは、その中でも最良のものを掴み取ったと言う自負がある。だからこそ、ちょっと薄ら寒い想像をする余地があるのだろう。

俺たちはあっという間に冷めていくホットチョコレートを飲みながら、今や随分と昔に思えるあの春の日々を思い返していた───

──to be continued to:
"夏色透かす桜の木陰と小さな貴婦人たち"

あとがき -postscript-

Web公開するTH2小説ではお初になります。二次創作物書き維如星です。

本作は2006年春に発行した合同小説本「未来の二つの顔」収録の如星担当分のWeb公開版になります。まずは当時の後書きなど。

「神慮の機械」としても今回初となったToHeart2小説。今回はXRATEDならではのボリュームと内容を誇るささらシナリオに焦点をあて、有栖山公園の葡萄氏と共に、彼女との「あり得た未来」をテーマとして本書をまとめあげました。

さて、まずは本作について。原作では「ヘタレ」の呼び声も高い我らが貴明君(笑)、その辺りの評価はさておいても、原作ではあまりに彼ら二人が「平和にいちゃつく」時間が少なく、むしろ正式に付き合い出す前の方が身を捩るような初々しさが楽しめている始末。その辺りを少々不憫に思い、本作では「甘々」をモットーに彼女らのアフターストーリーを練り上げてみました。はてさて、皆様に彼らのラヴな時間が伝わっているでしょうか。

「未来の二つの顔」なかがきより

実際の書籍版では、このお話の後に葡萄氏の「ダークなささら小説」が入っております。それこそが「未来の二つの顔」というタイトルの由縁で、お互いささらシナリオに「別の形」を提示しよう、ということで製作された本でした。この後書きの後に(例によって)小話が続いていますが、彼らがその「別の形」を空想・回想したという造りになっていたのです。……いや、葡萄氏バージョンは毎度のコトながら、ホントに黒いです(笑)。ダークスキーな方は(現在Web公開はされておりませんが)是非一読をお勧めいたします。

ただし、以下の当時後書きにもありますが、その彼らが「回想した」シナリオは、決してTH2本編のささらシナリオではありません。

少々分かりづらかったかもしれませんが、最終話の途中で強調したように、「未来の一つの顔」もまた、本編ささらルートのアフターではありません。途中の過程が変化している、アナザーアフターというわけです。ここでの彼らは学校に立て篭もったり、南の島へ逃げたりという逃避行動は取っていないのです。

原作のささらシナリオにおいて、貴明のヘタレも気にならない如星が一番気に入らなかったのがこの一連の逃避シーンです。結局のところ、この逃避行の目的はなんだったのか、原作の台詞で言うならば「取引ではなく何を」彼らが求めていたのか、原作からは読み取ることができませんでした。

本作の「本編部分」においては、ささら両親との真っ向からの対決が発生いたします。……「本編部分」とは何か? はい、当「神慮の機械」の次回ささら小説のご案内です(笑)。

「未来の二つの顔」あとがきより

ここでいう「本編部分」が、現在書籍版で公開中の「夏色透かす桜の木陰と小さな貴婦人たち」になります。要するに自分の書いた話のエピローグだけが、本作として先に公開されていたわけです(笑)。ですので、よろしければ「本編」も是非ご覧くださいませ:)

それでは、以下最後の物語をどうぞ。

still more to go...

4.the Two Faces of Tomorrow II

──ささら、どうしたの? 大丈夫?」

貴明はちらりと腕時計に目をやった。時刻はあと数分で日が変わるところだ。二人してぬるくなったホットチョコレートを抱えながら、少しの間ぼんやりとしてしまったらしい。

「え? あ──ええ、大丈夫よ」

ささらは目を瞬いて惚けた空気を振り払い、再び隣の大切な人に向かって柔らかな微笑みを返す。そんな彼女の起き抜けの猫のような仕草に、再び内心でのたうち回っている貴明であった。

「ま、俺たちには色んな未来があり得たんだよな」

と、貴明は先程の話題を振りなおす。

「本当にそうね──ひょっとしたら貴明さんと一緒に日本で暮らしてる未来もあったのかも」

それが必ずしも渡米した今の自分より幸せとは限らないことを、もう彼女も貴明も十分に知っていた。

「はは、そういうのもあったかも。あるいは、二人して何処か……例えば遠い南の島かなんかに駆け落ちしちゃう未来とか」

彼はちょっと憬れるような目をしてそんな夢物語を呟いた。彼女を包み込むように成長した面を持ちながら、一方でそんな子供っぽい面をも残す貴明に、ささらは改めて恋するような想いを感じていた。

「南の島──それも楽しそう。きっと色んな海の生き物がいっぱいいて──

「クラゲがそんな一杯いたら困ると思うけどな」

「もう……イジワルね。別にクラゲだけじゃなくて、海には可愛い動物がたくさんいるのよ?」

それは起こり得なかった未来への楽しい夢想。

今が幸せだからこそ紡ぎだせる「イフ」の世界。

「もしあの時、二人でささらの親御さんから逃げ出してたら──確かに南の孤島にでも逃げてたかも」

何処かの小説で読んだかのような台詞を続ける貴明に、ささらは思わず苦笑した。

「バカね──そんなところに私たちが逃げ込んだら、すぐに家出か駆け落ちかって騒ぎになるわ」

「う、まあそういうもんか。あるいは誰もいなくなった夏休みの学校でこっそり寝泊りするとか、ちょっと憬れなんだけど」

子供じみた逃避行。もしそれが二人の上に実現していれば、確かに楽しい冒険旅行になっただろう。

「でも、私たちは逃げなかった」

ささらはそう力強く言葉を紡ぎ、改めて貴明の腕をぎゅっと抱きしめた。かつて貴明の心を求めて彷徨った日々に学んだ、相手と真っ直ぐに向き合うということ、本当の意味で誰かを愛するという、彼女が長い間見失っていた心。ささらの言葉には、今の彼女もそれを忘れてはいないのだと、改めて確かめるような強さが込められていた。

「うん──だからこそ俺たちはここに二人で立っていて──これからも、二人で歩いていけるんだ」

これが自分たちが向き合った現実の果実なのだと、貴明もまた力強く宣言する。

二日前、空港で言葉もなくお互いを抱きしめた瞬間、お互いがそれを悟ったのだ。二人がもはや不可分の存在であること。離れて暮らす日々は、やはりもう不自然なものだということを。


不意に大きな鐘の音が鳴り響いてくる。

何処か映画の中で聞いたような、重く何重にも響き渡る教会の鐘が、この深夜の凍てついた空気をすぐ近くから震わせている。

「あ──もう日が変わるのね」

そんな自然なささらの台詞に、貴明は不思議そうに疑問を投げ返した。

「日が変わるとこんな夜中でも鐘を鳴らすの?」

「ううん、いくら何でもそれはご近所迷惑よ。今日はクリスマスだから──ほら、さっきすぐそこに大きな教会があったでしょう? そこでこれから最初のクリスマスミサが始まるの。これはそれを知らせる鐘なのよ」

そういえば、このクリスマスツリーのあるプロムナードに入る直前、聖パトリックの名を冠した馬鹿でかいゴシックの教会があったことを思い出す。街中に巨大な教会があり、しかもそれが現役の施設ということ自体、貴明に改めて異国情緒を感じさせる存在だった。

「行ってみましょう、確かミサは見学できたから」

「よし、聖歌でも聞いてから帰るとしようか」

重く、しかし包まれるような心地よさを持つ教会の鐘の響きの中、再び金色の天使たちに送られながら、二人は神の家へと歩いてゆく。

だがその途中、最後の天使の下で彼女は静かに立ち止まり、ある一つの答えを彼に告げた。

「貴明さん、私──日本に帰ることにしたの」

気負うでもなく、恥じるでもなく。あの桜の舞い散る日々から続く道の行き先を、彼女はさっぱりとした表情で指し示したのだ。

そんな彼女に貴明は向き直ると、ちょっと照れたような表情でその言葉を受け入れた。

「そっか。……それがささらの答えなら」

彼にとって、彼女の宣言は決して唐突な感じはしなかった。むしろ、彼女が半年間この地で自らと向き合った、その素直な結果なのだと感じていた。

「母とは何度も話し合ったわ。お互いに相手から自立すべき時が、想像より早く来たんだと思う」

彼女はほんの少し俯き、次に顔を上げたときには今までにも増して頬が赤く染まっていた。

「元々語学研修という形だったし。四月から日本に復学して、貴明さんと一緒に三年生を過ごして、日本の大学を受験することになると思う」

その台詞の何処が赤くなるポイントだったのか貴明には分からなかったが、結果として彼女と高校最後の一年間を過ごせるという事実は、彼を素直に喜ばせた。

「あれ、でもささらのお母さんはどうするの?」

確か彼女の母親は仕事の都合でこちらに来ているはず。その記憶を貴明は蘇らせて質問する。

「母はこっちに残るらしいわ」

ささらは一抹の寂しさを込めてそう応えた。

「改めてやりたい事が見つかったって言ってた。ここはやっぱり芸術家の街だから」

無論今更絵筆の道に戻るというわけではないのだろうが、かつて自分が目指していた道に何か通じるところがあったらしい。それもまた、母娘の道が分かたれる一つの要因ではあったようだ。

となると、貴明にとって気になるのは日本でのささらの居場所である。

「え、それじゃ日本ではお父さんのところに?」

そんな彼の自然な連想はあっさりと否定された。

「それは流石にまだ無理ね。母も父とは少しずつ向き合うようになってきたけど、まだ私を預けられるほどには信用できてないの」

いくらなんでもまだ半年。ささらよりも歳を重ねた彼ら両親には無理もない話である。

「だから当面は一人暮らしの形で──その、一つだけ条件があって」

魅惑の単語、一人暮らし。その言葉をささらはますます赤くなりながら口にした。しかし一方の貴明にとって一つの条件というキーワードは、娘のことに関しては抜かりのなさそうな彼女の母親の姿を思い起こさせ、何か自分との接触制限でも設けられるのではと漠然とした不安を感じてしまっていた。

「えと、その条件って……。何だか俺が聞いてもいいのかな」

やや控えめな彼の口調に、ささらはそんな彼の遠慮をも吹き飛ばす勢いで即答した。

「と、当然よ! 貴明さんは真っ先に聞いてくれないと困るわ!」

珍しい彼女の語勢に、貴明も慌てて返事を返す。

「わ、わかったからささら、で、その条件って」

ところが、そう訊いた途端に彼女の勢いはぴたりと止まった。真っ直ぐだった瞳がほんの少し揺らぎ、赤くなる一方の顔はもはや粉雪をも溶かしそうな勢いである。

「え、雪……?」

ふと気が付けば、辺りには少しずつ粉雪が舞い始めていた。雪の結晶は人工の光を浴びて煌き、辺りはさらに幻想的な雰囲気に包まれる。

「えーっと、ほら雪も降ってきたし、もし言いにくいんなら帰ってから訊くんだけど」

そう言って教会の方に歩き出そうとした貴明に対し、ささらは全力で袖を引いて踏みとどまった。

その余りに可愛くも強力な仕草に、流石の貴明も何かを悟った。これは。まさかその。

「条件っていうのは、その」

遂に観念した、いや覚悟を決めたかのように、彼女は逸らしていた瞳を真っ直ぐに彼の方に向け、半年間考え続けてきた未来への答えを彼に告げた。

──きちんと信頼できて、その約束を形にして残していってくれる人が日本でも一緒にいてくれるなら、っていう──

信頼。約束を形に。一緒に。そりゃあの時には永遠の約束を持ってくって俺も思ってたけど、まさかお母様の方からも条件にとか、えーとその。

「そ、それって」

貴明は全力で声を絞り出す。その顔の赤さたるや、もはやささらに並ぶ勢いである。

一方で、彼が言葉に詰まるばかりで明確な答えのないまま、彼女にとって耐え切れない程の時間(客観時間にして五秒程)が経過し、彼女は今にも泣き出しそうな顔で最後の一刺しを無意識に放った。


「ダメなの──?」

「全然ダメなわけないっ!」


瞬間、一際大きな鐘の音がまるで誰かを祝福するかのように、夜の摩天楼を圧して響き渡る。その荘厳な響きに合わせるように、巨大なクリスマスツリーを取り巻く無数の星々が眩く瞬き始める。


──Merry Christmas!


世界中の人々が、人々に代わり十字架を背負った聖人を祝福するその瞬間。かつて屋上の扉を開いた一人の青年が、一人の少女の全てを背負う誓いを果たしていた。

やがて鐘は鳴り止み、その残響だけが祝報の先駆けのように、黒い人工の森の間を駆け抜けていく。赤い光に照らされて天樹の周りを舞う粉雪は、まるで二人が出会った季節の桜のよう。


再会に同じく、もはやそこに言葉はなく。

静まり行く夜、天へと伸びる光のなかで、

二人の道はここから、続いてゆく。

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